サラリーマン110番(22)マスオさんの人事評価に悩む私

<相談内容>
40歳のサラリーマン。
今年管理職となったので,先日会社の管理職研修を受け,部下の人事評価の方法を学びました。
表面的な部分だけではない,部下の真の努力や実績を評価すべきという内容に感銘を受けた後,実践研修として,ある有名人を部下に持った場合に,その彼(彼女)をどう評価するか,という課題を与えられました。まずは部下の名前を決めるくじ引きを行い,一緒に参加した同僚が「みのもんた」を引き当てて盛り上がっている中,私が当てた部下は,なんとサザエさんの夫のマスオさんでした。
私は,マスオさんは人間としては非常にいい人であり,何ら非難する要素はないのですが,商社勤務のサラリーマンとしての勤務振りをつぶさに見ると,

  • 毎日,日の沈まない時間帯に退社する。
  • やたらアナゴさんと飲みに行く。
  • 席に付いているときはよく分からない紙に何かを書いている。
  • 電話の相手は専らサザエさんかカツオで,取引先とはほとんど会話しない。

など,業績をあげているとは全く思えません。そういうわけで,私はマスオさんに最低の人事評価を下そうと考えているのですが,よろしいでしょうか。

<回答>
「よろしいでしょうか」と私に許可を求められても困ります。最終的には貴方の判断なので,最低だと思うならそのようなレポートを書いて提出すればよいでしょう。
ただ,気になるのは貴方の観察している内容が,非常に表層的であることです。
確かにマスオさんの会社における行動は,貴方の指摘するとおりです。また,取引先との商談では「思っていることが顔に出てしまうから」という理由で,アナゴさんに商談の交渉役をお願いするようなていたらくです(先週放映分)。
このように,一見どうしようもないマスオさんですが,突然,上司である部長から,取引先の社長の接待を部長に代わって行うようにという重大な役目を仰せつかることもあります。決して接待上手とは思えないマスオさんがこうした起用をされている事実から,マスオさんは,テレビには表れない何か重要な仕事をやっていて,会社からはその仕事を高く評価されているのではないか,ということが推測されます。
「特命係長 只野仁」のような仕事をマスオさんがこなしているという可能性も否定は出来ませんが,一般的には次のようなことが想像されます。

  • マスオさんの担当業務は穀物先物取引による収益獲得。
  • 本当の仕事がスタートするのは先物取引の本場であるシカゴ市場での取引が活発化する日本時間深夜のため,毎日退社時間は夕方。腹ごしらえを兼ねてアナゴさんと軽く飲みに行くこともある。
  • 家に帰って食事と風呂を終えてタラちゃんを寝かしつけるといよいよ仕事がスタート。自宅の黒電話でシカゴ支社に電話して市況を聞きつつ的確な売買注文を入れていく。
  • マスオさんの鋭い相場観には定評があり,「マスオが買いを入れた」という噂でシカゴ市場が動くこともしばしば。取引先からも「あの伝説のマスオさんの話をぜひ伺いたい」という引き合いが多く,断りきれなかった部長がマスオさんと取引先の宴席を設けることも。
  • 夜明け前に取引を終了すると仮眠して朝食を食べて,元気に出社。席につくと,昨晩の取引内容と損益,市況等についてのレポートを書いて部長に提出。睡眠時間が少ないので昼間うとうとすることもあるが,部長も大目に見ている。

こういう前提で,マスオさんの評価をしてみてはどうでしょうか。