特集・日本の協会 第13回・社団法人日本船長協会

その名のとおり,船長さんの,船長さんによる,船長さんのための協会です。
「船長の見識の涵養と技術の研鑽を行うとともに船長の職務に関連する諸問題を調査研究することにより、海運並びに海事の発展に資すること」が目的ということで,現在2,600名もの会員の方々が日々研鑽されているとのことで,今後の海運・海事の発展をかげながら祈念申し上げます。
それはそれとして,私が心惹かれたのは,この協会が創立50周年記念事業として実施している企画「船長,母校に帰る」です。これは,活躍中の船長さんが母校(主に小中学校)に帰り,現在の児童・生徒を前に海の仕事の素晴らしさや大変さを講演するというものです。これまでに実施された全ての講演(というよりも講演実施までの船長さん方の苦労談が中心ですが)が掲載されています。「ダブルスタックトレインのディーゼル機関車の馬力は何馬力か」という質問を受けて困ってしまった船長さん,講演以来,学校の近くを歩くと「あっ,船長さんや,船長さんや」と子供に言われてテレてしまう船長さんなど,なんとも微笑ましい内容です。
ただちょっと意外だったのは,この企画が,船長さんが自ら母校に赴いて「講演させてください」とお願いする「持ち込み企画」(一部例外あり)だということです。「私は当校卒業生で,現在船長の任にある者ですが,こういう趣旨で講演させてくれませんか?」という話をある日突然持ち込まれた小中学校の先生の当惑が目に浮かびます。
「校長,船長が来ていているのですが」「何,船長?」などという会話がなされているのでしょう。