一歩踏み込む節電生活(5)応接室を涼しく

注意:このコラムは,今後ますます求められることになる節電のための努力について,あらゆる可能性について検討,提案を行うための材料として掲載しています。したがって,提案内容の実現性については何ら保証いたしませんのでご留意願います。


今回はオフィスの節電のお話です。

今年の話題は「サマータイム制導入」と「スーパークールビズ」に集中しているようですが,「他社にならって」という安易な理由で導入すると,本来の目的を忘れた「自己目的化」が進みやすいので注意が必要です。

例えばサマータイム制導入。
早朝から出勤するようになったものの,勤務終了時刻が変わらず結局労働時間が伸びただけ,という事例や,飲み会が従来の「2次会で解散」から「5次会まで突入」に変わったケースなど,かえってエネルギー消費量が増加してしまう結果が出始めています。

外が明るい時間を有効に活用する,という趣旨を生かすためには,例えば「4時起床,6時30分始業,15時終業,18時帰宅,20時消灯・就寝」といった生活を広く国民に定着させないと意味がないと思われます。
深夜まで灯りの点っているオフィスや家庭に菅首相に抜き打ちで踏み込んでもらい,そのまま朝までガミガミと怒鳴り続けると効果的かもしれません。


また,スーパークールビズも同様です。
一般的にはポロシャツやアロハ,かりゆしなどを着用することを指していますが,「半袖・ノーネクタイ」を既に実現している現在のクールビズと比べて,清涼感が大幅に増す効果は期待しづらいのが実情です。
空調設定温度をさらに引上げる(30度等)のがスーパークールビズ導入の本来の目的だと思われますが,旗振り役の環境省自らも空調設定の推奨温度は28度のままにしています。

このままでは単なる「アロハシャツの普及活動」に終わってしまいそうなので,この際いわゆる「裸の大将」スタイルを認めるところまで踏み込み,空調温度の引上げを行う必要があると思われます。

ただ,若い社員にとっては抵抗感が強いと思われるため,まずは役員全員が山下清スタイルで出勤,そのまま朝食のおにぎりを食べながら早朝役員会を開催するなど,手本を示す必要があると思われます。


そんななか,どのオフィスでも今すぐできるのが「応接室に団扇(うちわ)」作戦です。

応接室は個室であったりパーティションで仕切られたりしている関係上,空気の流れが悪いため,通常の業務室と比べて室温が高く感じられる傾向があります。
そんな応接室の室温はそのままに,涼しさを感じさせるのが「団扇」です。

やり方は簡単,テーブルまたは椅子のうえにあらかじめ人数分の団扇をセットしておくだけ。天井から風鈴を吊るしておくとさらに効果的です。

来客には設定温度が高いことを謝りつつ,団扇の利用を勧めます。
やってみると分かりますが,全員が団扇を扇ぎながら面談すると,グッとくだけた雰囲気となり,実のある面談となる可能性が高まります。また,団扇の風が時々風鈴を揺らし,涼やかな音が響くことで心もなごみます。

団扇の利用は,次のような点でもメリットがあります。

  • あまり触れられたくない話題になりそうな時,激しく団扇を扇いで会話が聞き取りづらい状況を作り出し,とぼけることができる。
  • 都合の悪い資料を,団扇の風でテーブルの上から飛ばしてしまうことが出来る。
  • 口に出しづらい言葉については,団扇にメッセージを書いて相手に見せることができる。
  • 相手に表情を読まれたくないときには顔をさりげなく隠すことが出来る。
  • 熱々のホットコーヒーが出されたとしても,風を送って熱を冷ますことができる。


団扇ではなく扇子,という選択肢もありますが,試してみたところ,団扇に比べて場の雰囲気がやや気取った感じになります。あまりカジュアル過ぎるのには抵抗感がある,という向きにはお薦めできるかもしれません。