一歩踏み込む節電生活(6)冷やし中華はじめました

注意:このコラムは,今後ますます求められることになる節電のための努力について,あらゆる可能性について検討,提案を行うための材料として掲載しています。したがって,提案内容の実現性については何ら保証いたしませんのでご留意願います。

今回はいわゆる「節電メニュー」についてのお話です。

本格的な夏を迎えると,冷たい麺類が好まれるようになってきます。中でも「冷やし中華」は,見た目が華やかなこともあって人気です。

しかし,「節電メニュー」という観点からはどうなのか,「ざるそば」との対比を行ってみます。(以下の記述内容は,実際には店・地方により相当な差異があることをご了承ください)

(1)製麺について

麺と言えば「手打ち麺」が人気ですが,実際の消費量の大半は機械製麺です。
そばの場合,麺の原料はそば粉(60〜100%)・小麦粉(0〜40%)・水という至ってシンプルな構成になっています。
一方,冷やし中華に使われる中華麺の場合,小麦粉・かん水・水のほか,卵などを入れる製法も多く見られます。材料を攪拌し,こねる作業は異質な材料が増えれば増えるほど長時間を要するため,そばの方が短時間(=低電力)で作ることが出来ます。

(2)具材について

トッピングされる具材の豊富さは,手間がかかっていることの裏返しです。
冷やし中華のトッピングと言えばきゅうり・錦糸玉子・チャーシューなどが全国的にみて最大公約数と言えるものですが,錦糸玉子を焼いたり,チャーシューを焼いたり煮たりするのには相当な電気・ガス等を消費します。
一方,ざるそばの場合は海苔とネギを刻むだけで済みます。

(3)麺の茹で時間について

茹で時間もエネルギー消費量に直結する問題となります。
材料にもよりますが,生めんの場合,一般的には中華麺よりもそばの方が若干,茹で時間が短くて済みます。なお,うどんの場合はそばの3倍以上の茹で時間を要します。

(4)つゆ・たれ・スープについて

さらには「つゆ」「たれ」の問題もあります。
そばつゆの製法はそれぞれの店により異なりますが,原材料を混ぜて一定時間加熱した後,電力等のエネルギーを一切使わない「寝かし」の工程が大部分を占めています。
一方,冷やし中華の場合は,店により様々なバリエーションがありますが,ラーメンスープをベースにしている場合,材料を長時間煮込む工程が含まれていることから,この点でも「そばつゆ」に軍配を上げざるを得ません。


このように,夏を節電メニューで乗り切る観点からは,「冷やし中華」よりも「ざるそば」の方がふさわしいものと考えられます。

さらに,冷やし中華ではなくざるそばを選択することによる副次的な効果として,次の2点も期待できます。

  • 冷やし中華よりもざるそばの方が一般的には価格が安いため,客のふところが痛まなくて済む一方,店にとってはざるそばの方が利益率が高い。つまり,店と客の間に「Win-Win」の関係が成り立つ。(1軒の店でざるそば・冷やし中華の両方を提供していることが前提ですが)
  • 今後ますます重要性が高まる日中関係を良好に維持していくうえで,「中華」を「冷やす」という商品名は無用の誤解を生む火種になりかねないが,「ざるそば」であればそうした懸念は無い。

この夏は「ざるそば」で乗り切りましょう。