ジンギスカンブームに警鐘−体から羊毛,モンゴルから抗議


最近の飲食業界で一大ブームとなっている「ジンギスカン」だが,警鐘とも受け取れる現象,事件が次々発生しており,(社)日本ジンギスカン協会では対策に追われている。
千葉県船橋市在住の会社員,Aさん(27)は流行の料理の食べ歩きが趣味で,ここ半年ほどは「ジンギスカンにハマっている」と言い,友人らと最低でも週3回はジンギスカンを楽しんでいるという。そんなAさんが体の異変に気付いたのは3週間ほど前のこと。朝目覚めると,暖房も入れていないのに妙に暖かく感じたAさんは,目を擦ろうとして仰天した。腕にも,そして顔にも,白い毛がびっしり生えていたのだ。慌てて飛び起きたAさんが鏡で全身を見てみると,何と羊そっくりの毛が頭から足までを覆い尽くしていた。
呆然としたままとりあえず救急車を呼んで病院で診察を受けたところ,世界でも4例しかないという「急性羊毛症」であることが判明。命にかかわることはないが,3日に1回は毛を刈らないと鬱陶しくなる,というのが症状だ。Aさんは早速病院内にある「バーバー吉田」で全身の羊毛をカットしてもらい,ひとまずすっきりしたが,原因不明の病気のため,3日もすればまた生えてくるのが悩ましいところだ。
しかし,ジンギスカン好きのAさんは転んでもただでは起きない性格。刈り取ってもらった羊毛を業者に持ち込んだところ,2,200円で売れたため,このお金で早速ジンギスカンを食べに出かけ,「2人前を平らげた」という。3日ごとに生えてきた羊毛を売ってその金でジンギスカンを食べるという,変則的な自給自足生活が始まってしまったが,ジンギスカンブームが去るのが先か,羊毛が生えなくなるのが先か,気になるところだ。


大相撲九州場所千秋楽の取組みで横綱・昼青龍を激怒させたのが,後方客席にカセットコンロを持ち込んでジンギスカンを楽しんでいた男性客と,(社)日本ジンギスカン協会。
今回の九州場所は不人気が極まった感があり,客席の半分以上が空席という状況が連日続いたが,千秋楽の一番にもかかわらず,ガラガラの客席でジンギスカンに夢中の男性客の姿が昼青龍の目に止まった。「真剣に取り組んでいるのに何だ」と爆発寸前の昼青龍は,怒りの矛先をこの日の相手の千代小海にぶつけ,取組み時間わずか1秒で大関を撃沈。
その後の表彰式で,今回特別に(社)日本ジンギスカン協会が用意した特別賞が怒りの炎に油を注ぐ結果となった。優勝杯として,ジンギスカン鍋をかたどったヘルメットをかぶせられた昼青龍は,副賞の「ジンギスカン5年分」の目録を破り捨て,「モンゴルにはこんな料理はない!だいたい,人の国の英雄の名前を勝手に料理名にするな!せめてジンギスカンじゃなく『チンギスハーン』にしろ!」と叫び,ヘルメットを客席に投げつけるとそのまま退場。在日モンゴル大使館に日本料理界の非道を訴えた。大使館も事態を重く見て日本政府に正式に抗議した。
こうした事態を収拾するため,大泉首相が自ら乗り出し,4日に昼青龍を首相官邸に招いた。首相は(社)日本ジンギスカン協会の不手際をわび,日本における料理名の呼称を「チンギスハーン」に変更することを国会で決議することを明言するとともに,「モンゴルにおいて醤油ラーメンを『サイゴータカモリ』と呼んでもらっていい」と交換条件を呈示。何が気に入ったのかは不明ながら,これで昼青龍はすっかり機嫌を直し,無事に和解を果たした。昼青龍は,協会から首相を介して渡された「国内チンギスハーン料理店5年間無料券」を手に,「早速色々な店の食べ比べをしたい。まずければその店を叩き潰すけど(笑)」と満面の笑みを見せた。


一方,ジンギスカンブームは金融界にも影響を与えた。大日本銀行の福田総裁は2日の記者会見で「最近のジンギスカンブームについてどう感じるか」との質問に対し,「個人的にはやや過熱気味ではないかと感じている。経済全体の一部とはいえ,象徴的な動きだとも言える」と発言,極めて近い将来の金融政策変更を示唆したと受け止められ,長期金利が急上昇した。
国債発行コストの上昇を恐れる財務省は「大日銀の金融緩和を続けさせるためにもジンギスカンブームを早急に終わらせるべき」との本末転倒な議論を展開,一部の強硬派が「大泉首相の退陣を待たず,来年1月から『ジンギスカン特別消費税』として35%を徴収すべき』という主張を始めている。

奇病から国家財政まで,様々な影響を与えるジンギスカンブームの行方には今後も注意が必要だ。