新会社法に条文ミス?−対応二転三転で混乱,桂歌丸師匠も猛抗議

この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。

本年5月1日施行予定の,いわゆる「新会社法」に思いもよらぬ条文が紛れ込んでいることが判明,関係各方面に大きな波紋を投げかけている。
今回施行される会社法は,会社法制の柔軟性を高めて競争力強化に資するとともに,会社経営の健全性向上を実現させる等,今日的視点から現行商法等に規定されている株式会社等のあり方を抜本的に見直し,単独法として制定されるもの。商法と比較すると,ひらがな表記になっている等読みやすくなっている面もあるが,条文数は全979条におよぶ膨大なものとなっている。このため,実際の国会における審議では必ずしも全ての条文が細かく議論されることにはならなかった。
そんな中で,今回「条文ミスではないか」と指摘されたのは合計3箇所。1箇所は明らかに単純なワープロ変換ミスと考えられるもの(第905条第2項「皇国裁判所」:抗告裁判所の誤りと推測される)であるが,残り2箇所は何者かにより故意に改ざんされた可能性があると見られている。問題の条文は,第357条(取締役の報告義務)「取締役は,株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実(取締役自身が日本テレビ放送網株式会社制作のもと同社及び系列会社により毎週日曜日に放映されるテレビ番組「笑点」を視聴していないという事実を含む)を発見したときには,直ちに当該事実を株主(監査役設置会社においては,監査役)に報告しなければならない」の赤字部分,および第976条(過料に処すべき行為)の末尾に加えられた「三六 第357条1項の規定に違反して報告を怠ったとき」の2箇所。これらを素直に読めば,「取締役は全員が毎週『笑点』を視聴せざるを得ず,もし見逃した場合はその都度株主または監査役への報告が必要となり,これを怠ると100万円以下の過料に処せられる」ということになるため,日本中の株式会社の法務・総務部門に大きなショックを与えているものだ。
石油プラントを主力とするA社では,本条項の有用性について疑問を持ちつつも「悪法と言えども法は法。コンプライアンスの観点から無視することは許されない」と判断し,早速「毎週日曜日の夕方に取締役全員が本社役員会議室に集合し,全員で「笑点」を視聴する」ことを3月18日の臨時取締役会で決定した。ただ,同社は海外事業の比重が高く,常時半数近い取締役が海外に出張している状況。このため,同社では日本時間の日曜日夕刻の時間帯の海外出張を禁止し,長期出張の場合は日曜日だけ日本に戻ることを義務付ける方向で調整を進めている模様だ。しかし同社のように迅速な対応が行われているのは稀なケース。ほとんどの企業は「明らかに不当な条文であり,削除すべき」と業界団体等を通じて主張,ミスを認めたくない法務省などは慎重姿勢を示したものの,政府等も「修正はやむなし」の方向に傾きかけていた。
しかし,この流れに大きな一石を投じたのが当の「笑点」関係者。彼らも今回の条文への記載は「寝耳に水」(座布団係の山田隆夫氏)だったが,いったん記載されたものを簡単に否定されることは「笑点がコケにされるものだ」として,条文修正の動きに対して猛抗議を開始。20日からは法務省前に笑点の「大喜利」メンバーが勢ぞろい,それぞれ10枚の座布団の上に座ってハンガーストライキを始めた。痩せ型の桂歌丸師匠には21日ドクターストップがかかったが,点滴で回復した後ただちに外国特派員協会の特別講演ゲストとして招かれ,笑点にかける熱い想い,伝統芸能としての落語の素晴らしさ,今回の件での小泉政権の冷徹さ,ついでに花粉症の苦しさを涙と鼻水まじりで語り,外国人記者の感涙を誘った。この会見の模様は,22日のワシントンポスト紙が「SHOTEN,The Japanese Spirit」という見出しと歌丸師匠の大きな写真付きで報道するなど,世界各国に伝えられており,笑点側を支持する論調が支配的になっている。
こうした抗議活動と外圧を一種の「追い風」と捉えた法務省は,現行法をそのまま施行するべく調整に入った。一部地方企業から「笑点が放映されていない地域では対応しようがない」という指摘を受けていたこともあり,政省令で笑点が放映されていない地域の最大手放送局に「笑点」放映を義務付ける手当を行った。また,「なぜ取締役が笑点を視聴する必要があるのか」という点についての説明が国会対策上不可欠であると判断,同省では法制局等とも協議して,「取締役が適切な経営判断を行うためには適度なリフレッシュが不可欠であり,日曜日夕方に笑点を見て気持ちをリラックス・リフレッシュさせ,翌日からの業務に当たるのは新会社法の精神に合致している」という,ほとんど意味不明な想定問答も用意した。
ところがこれに収まりがつかないのが他局。フジテレビはこの解釈に対して「日曜夕方のリフレッシュと言えばサザエさんを置いて他にない」と,笑点ではなくサザエさんを法律に盛り込むよう強く要求。また,NHKも「のど自慢も忘れないで欲しい」とアピールするなど,次第に収拾がつかなくなりかけているため,最終的には,視聴する番組はそれぞれの会社の株主総会で決定できるとする方向で調整される模様だ。ただ財界では,こうした調整により,今後企業内部で「笑点派」「サザエさん派」「あるある大事典派」「黒バラ派」など,従来とは一味違う派閥抗争が繰り広げられることを懸念しており,「ここはやはり一本化が望ましい」という意見も根強い。
一方,政府・与党では今回の一件が悪質な悪戯であるとの見方から,警察庁・警視庁に対して犯人を割り出すべく早急に捜査を開始するよう指示しているが,警察庁内部では「下手に犯人を刺激すると,警察関連法規にとんでもない条文を挿入されかねない」という意見も出ている模様で,本格的な捜査着手に二の足を踏んでいる状態だ。
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