文書における「等」使用禁止で波紋−官邸主導の動きに各方面から猛反発


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首相官邸主導で決定した,官庁における文書作成にかかる指針をめぐり,各方面に波紋が広がっている。
そもそものきっかけは,2005年に國學院大學の武部文孝教授が発表した論文。武部教授は,日本語の文章における特定の文字の出現率の研究が専門であり,この論文では「等」「など」という文字の出現率を分析。公開されている文書や様々な組織の内部協力者から収集した文書計280万点,文字数で238億文字もの膨大な資料を解析している。
その結果,対象となった文書全体における「等」「など」の出現率は0.2%(500文字に1回の割合で出現)であることが判明した。しかし,これを文書の作成主体別に分析すると様相が一変。
個人的に作成された文書では出現率が0.1%に過ぎず,また,従業員数で1,000名未満の企業で作成された文書も0.2%にとどまっているが,1,000名以上の企業ではこれが0.5%に跳ね上がり,官庁で作成された文書に至っては1.9%という異常なまでの高率が確認された。武部教授は時系列でも分析を行っており,「過去3ヵ年で『等』の出現率が0.2%以上上昇した上場企業は,その後3ヵ年の株価のパフォーマンスが市場平均を下回る可能性が極めて高い」ことも明らかになった,としている。

武部教授はこうした結果について「等という言葉は,事象が非常に多数である場合の省略や,想定外の事態が発生した場合に備えた言い訳用に挿入される傾向が強い。企業活動が比較的小規模な場合は事業・業務内容が極めて明確であるため『等』の使用ニーズは低いが,企業規模が大きくなり,事業が多岐かつ複雑になるにつれて,『等』に対する依存度が高まってくる」と分析。また,「等の使用が多いということは,経営者の観点から見れば事業・業務内容を完全に把握するのが困難でかつ予測不可能ということでもあり,企業活動の迷走や疲弊に繋がりやすい。いわば組織としての『老化度合い』を示す指標とも言え,そのことが株価にも反映されているのではないか」と解説している。


今年4月の「桜を観る会」で武部教授と懇談,この説を聞いた安倍首相は,公務員の人材バンクをめぐる議論等でストレスを感じていただけに「我が意を得たり」と意気投合,「今後の官庁・官僚のあり方を考える上で極めて重要な示唆に富む論文だ」と高く評価,官邸スタッフに対して早急に「官庁の作成文書にかかる指針を打ち出すように」との指示を出した。そして3日後に首相のOKを得て公表された内容が,「2010年までに官庁作成文書における『等』『など』の出現率を0.3%以下に抑える」「2015年までに出現率をゼロにする」というもの。

塩崎官房長官はこの内容を23日の記者会見で発表,これを確実に実現していくために国務大臣ポスト(文書チェック担当)を新設することも明らかにした。また同時に「日本全体の活性化を図っていくためには,民間企業・組織においてもこの趣旨を汲んで,極力『等』『など』という表現を使わないよう,自主的に努力してもらいたい」とのコメントも発表。官僚の反発もさることながら「何で文字の使用にまで政府が介入するのか」「言論の自由に対する弾圧ではないか」「国務大臣はどんな仕事をするのか」等,財界・学界など各方面から批判と疑問の声が上がっている。

こうした批判については安倍首相もある程度予想していたようだが,予想外の反応も出ている。

仏教を馬鹿にしているのか」と怒りを隠さないのは,10円玉に刻まれている「鳳凰堂」で有名な宇治・平等院の住職ら。
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=40989
「等の文字を外すとうちはやっていけなくなる。等の時は他の寺院でも広く使用されており,まさに死活問題だ」と語気荒く訴えている。
また,関東地区の暴走族の青年らで構成する「房総暴走総連」(房暴総)も「我々の会則第1条は『喧嘩上等』。これを否定されるのであれば相手が誰であろうと喧嘩する」とその決意を示している。
さらには浜松の養鰻業者らも「『うなどん』という文字には『など』が入っている。日本の夏のスタミナ源を否定するつもりか」と激しい抗議をしている。「『うなどん』と『ドナウ』は語感が似ている」という理由で浜松市姉妹都市縁組をしているオーストリア・ウイーン市のバルテンシュタイン市長も「日本政府の考えていることを理解するのは難しい」と不快感を表明,側面援護に回っている。さらには正式名称に「等」の字が含まれる高野連も「高等学校の球児の努力を否定するとは何事か」とクレームをつけている。
これら,普段は全く接触のない4団体は合同で「『等』『など』の復権を目指す国民会議」を立ち上げ,28日から首相官邸前に座り込んで抗議を行う予定だという。うなぎを焼く煙,線香の煙,バイクの排気煙という3種類の煙をミックスして官邸に浴びせかけるほか,トラック150台で甲子園の土を官邸前に運びこんで敷き詰め,全国から招いた高校球児3万人を24時間交代制でスライディングさせるパフォーマンスも予定している模様だ。


安倍首相は「一旦打ち出した方針は絶対撤回しないことで『強い首相』というイメージを定着させ,支持率回復を図る作戦に転じている」と言われており,今回の猛抗議にもかかわらず方針転換はしない模様だ。それどころか,武部教授が今年1月に発表した論文で「日本人は『お疲れ様』『ご苦労様』と安易に『様』を付けすぎる」と指摘していることにも強い関心を抱いている模様で,近日中に「様」の使用も制限する方針が発表されるとの見方が専らだ。

安倍首相が猛反発に折れて方針撤回するか,それとも「お疲れ殿!」という挨拶が交わされる日が来るのか,今後の日本人のあり方にも多少は影響するだけに注目が必要だ。