埼玉県,今度は「第二エッフェル塔」誘致か−第二東京タワー誘致失敗を受けて起死回生策

注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。


第二東京タワーの誘致に失敗した埼玉県・さいたま市は代替プロジェクトの誘致を行うことを決定,早速対象プロジェクトの選定および誘致活動に着手した。
テレビ放送の地上デジタル化対応のためのいわゆる第二東京タワー構想については,さいたま市墨田区との間で激しい誘致合戦が繰り広げられてきたが,最終的には電波障害発生の可能性等を考慮して,3月31日,墨田区に建設されることで最終決定がなされた。
この「落選」は,「埼玉なのになぜ東京タワーなのか」という批判をよそに,政治生命をかけて誘致活動を繰り広げてきた埼玉県の上田清司知事にとっては極めて屈辱的なもの。このまま引き下がっては次期知事選に影響するという計算なのか,4月1日の「落選」会見で同知事は「第二東京タワー計画を上回る,超大型プロジェクトの誘致を実施する」と宣言,事前に聞かされていなかった県事務局らを慌てさせた。会見後同知事はただちに「第二東京タワー誘致委員会」をそのまま改組,「超大型プロジェクト誘致実行委員会」として検討開始を指示した。
現在のところ同委員会事務局が本命として検討に注力しているのが「第二エッフェル塔」の誘致。「東京タワーがだめならエッフェル塔に決まっている」という事務局長の一言をきっかけに検討を開始。埼玉県内に居住するフランス人による「在さいたまフランス人会」(会員38名)に内々打診したところ,「それは非常にトレビアン」と好意的な反応であったことから,事務局では自信をもって知事に本格検討を具申,知事もGOサインを出したもの。事務局では高さ688mの「第二エッフェル塔」建設計画を策定,在日フランス大使館に対してその実現の是非について意見を求めた。本家エッフェル塔を超える高さについて難色を示されると思いきや,「我が国文化の一端をここまで大きく紹介するのは非常にいいこと」と歓迎され,「エッフェル」という名称の無償使用も含め,全面的なバックアップの約束を取り付けた。
第二エッフェル塔には,複数のオフィスやテナントの入居が内々定しつつあるほか,埼玉県のUHF局「テレビ埼玉(愛称テレ玉)」の受信地域拡大の役割も果たす。テレビ埼玉は「第二エッフェル塔が完成すれば,わが局の人気番組『こんにちは川口市』『とびだせ!春日部っ子』『秩父よいとこ』などが静岡県宮城県でも鮮明な画像で視聴できるようになる」と胸を張る。また,テナントとしては在日フランス大使館のほか,エルメスルノーなど,フランスゆかりの企業・ブランド店を集めたいとしている。さらに,これらのテナントおよび第二エッフェル塔運営会社では,20代のフランス人を優先雇用する計画で,本国で深刻化する若者の雇用問題にも配慮した形だ。第二エッフェル塔誘致を契機として上田知事はさいたま市を「日本のパリ」として売り出したい意向で,既にさいたま市内の商店街等に対して,第二エッフェル塔完成の暁には「シャンゼリゼ」などの名称を使用するよう呼びかけを開始している。
しかし現在のところ最大の問題は,事業費の捻出方法。財政難の埼玉県・さいたま市ともに「税金の投入は1円たりとも不可能」としており,現時点で750億円といわれる総事業費のうち目処が付いているのは,在日フランス大使館が協賛金として支出することを表明した1万ユーロ(約144万円)のみ。事務局は残額を「在さいたまフランス人会」に負担させたい意向だが,1人当たり20億円近い負担となるため交渉の難航は必至だ。

事務局が第二候補として検討しているのが「第二ピサの斜塔」建設計画だ。さいたま新都心に,高さ600m・傾斜角度30度という,本家を様々な意味で凌駕する斜塔を建てようというもの。傾斜しているため安全性の観点からテナント等の入居は予定せず,単なる巨大なランドマークとなる予定だが,事務局では「影の位置で大まかな時間を知ることが出来る,一種の巨大な日時計だと考えて欲しい」と話している。建設については,当然法令上求められる十分な耐震強度の確保が大前提であるが,30度という傾斜角度がネックとなり,このままでは十分な強度確保が困難な情勢。このため事務局では,大手ゼネコンに対して,斜塔の「突っかい棒」の役割を果たす,高さ300m超の超高層マンションの建設を働きかけている模様だ。この構想が実現すれば,ちょうど「人」という字のような形のオブジェにもなる。事務局では「ヒトとヒトが支え合ってはじめて人になる,という深遠なテーマを県民に訴えることが出来る」としているが,「このような主張のために何百億円をかける気か」「そんな主張は金八先生に任せておけ」と批判的な声が強く,実現可能性は低そうだ。

第三候補となっているのが国際決済銀行(BIS)日本事務所ビルの建築計画。BISのオフィスは現在,アジア地区では香港に設置されているが,これを日本に移転させるべく,中央官庁等に無断で埼玉県が独自にBISに打診を始めたもの。BIS側も一定の関心を示しているが,「セキュリティの観点から単独ビルにする必要があり,スタッフは30名程度のため,3階建ての小規模なビルで十分」としている。しかし,見栄えのするランドマークにする必要がある埼玉県側は,「高さ600mの3本の巨大な柱の上に3階建てのオフィスを設置する,超高床式ビルディングはどうか」を提案。「新BIS規制の思想を埼玉県民に知らしめることが出来る」とBIS側にアピールしているが,BISでは「別に埼玉県民にアピールしても仕方がない」と冷ややかな反応だ。

そのほか,高さ800m級のピラミッドを建設する案も出ているが,「ピラミッドパワーで埼玉県経済を活性化する」との事務局説明に対して,県民の意見は「上田知事が自分の墓にしようとしているのではないか」「ピラミッド建設に県民が駆り出されそう」と否定的なものが圧倒的に多い。
上田知事が,埼玉県をどこに導こうとしているのか,県民による監視がこれまで以上に必要だ。