「あっち向いてホイ」に神秘のパワー?−来年度から国家公務員採用試験科目に採用


注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。



来年度以降の国家公務員採用試験において,「あっち向いてホイ」が試験科目として採用されることが19日明らかになり,話題を呼んでいる。
「あっち向いてホイ」は,「ジャンケン」の勝者が,敗者の眼前に人差し指を突き出し,「あっち向いてホイ」の掛け声とともに上下左右いずれかの方向に指を動かし,ジャンケン敗者の顔を同じ方向に向かせると勝ち,というゲーム。その起源ははっきりしないが,1950代前半に静岡県で誕生したという説が有力とされている。60年代から80年代前半にかけて「あっち向いてホイ」は最盛期を迎えたが,バブル期に入ると,より派手なゲームが人気を集め,「あっち向いてホイ」のような地味な遊びには見向きもしなくなくなり,「最初のジャンケンで勝負が付いているのになぜさらに『あっち向いてホイ』と続ける必要があるのか」「勝負が決まりにくく,効率が悪い」という批判が相次ぎ,90年代以降はすっかり廃れてしまっていた。
そんな「あっち向いてホイ」が再び脚光を浴びる契機となったのが英国の学術雑誌「Nature」の昨年12月号に掲載された"Mysterious Effects ofAcchi-Muite-Hoi"(あっち向いてホイの神秘的な効果)と題された論文。マサチューセッツ工科大学の研究チーム3名の連名によるこの論文では,「あっち向いてホイ」と呼ばれる日本独特のゲームが,日本人の脳の活性化に大いに貢献し,日本の高度成長を支えたとする独自の説が展開されている。論文によると,あっち向いてホイは「ジャンケンの勝負がついた直後に次のゲームに移るための瞬時の判断力」「相手の心理状態・癖からどちらを向くかを見抜く予測力・洞察力」「明確な根拠もない中,いずれかの方向を決めるという決断力」「相手を自ら望む方向に誘導する説得力」「なかなか勝負がつかなくても粘り強く勝負を続ける耐久力」等,ビジネスにおいて必要とされる各種能力を鍛える上で非常に有効な遊びであると指摘。こうした遊びにより鍛えられた日本のビジネスマンが日本の高度成長を支えたが,これが廃れたことで日本の経済成長が止まり,バブル崩壊に繋がったのではないか,という仮説を呈示している。また,「経済一流,政治三流」と評される日本の政治力の弱さについては,「政治家はあっち向いてホイではなく野球拳を好んでいたため」というこれまた大胆な仮説を示している。
いずれにしても,こうした仮説は,昨今の脳活性化ゲームのブームもあって,日本国内で企業等の人事マンを中心に強い関心を呼んでおり,今回,人事院が「ペーパーテストでは表れない,社会人としての潜在能力を見るうえで最適の科目」であるとして来年の採用試験からの「あっち向いてホイ」採用を決めたもの。国家公務員試験受験者を対象とした予備校では早速対策講座の準備にとりかかっており,予備校大手のWセミナーでは「必勝!あっち向いてホイBasicコース」「必勝!あっち向いてホイ上級コース」を7月1日から開設すると発表した。
民間企業でも採用・昇進に「あっち向いてホイ」の採用が相次ぎそうな情勢であるが,「脳を鍛えるゲーム」をやりすぎると反って脳が退化するという説もあるなか,「あっち向いてホイ」に過度に依存することにも注意が必要だ。