「忖度(そんたく)検定」誕生へ

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


2017年前半の政界で度々キーワードとして登場し、今年の流行語大賞候補になるのが確実な「忖度(そんたく)」。この忖度を行う能力を測定し、検定資格化しようという動きが進んでいる。



動きの中心となっているのは、公益財団法人・日本漢字能力検定協会だ。
老若男女を問わず人気の「漢検」の実施団体であるが、2009年に当時の理事長らが法人の利益を横領した等として問題化。その後体制が刷新されたが、一連の事件によるイメージ悪化をいまだに引きずっている。
こうした現状を完全に打破すべく、「その時々に求められる新たな検定を創設し、時代の流れを後押しする」という経営方針を打ち立て、その第1弾として「忖度検定」の創設を打ち出したものだ。
もともと「忖度」という漢字は、漢字検定上級クラスの頻出ワードとしても知られており、「当協会が創設するにふさわしい検定だ」としている。


当協会のホームページによると、第1回検定は本年8月に、全国250会場で実施される予定とされている。
「忖度5級」から「忖度1級」までの5階級が設けられる。最も簡単な5級では、日常会話文を読み、その会話の当事者の心中にある感情が「怒り」「喜び」「悲しみ」「驚き」のいずれに近いかを選択肢形式で回答していく問題が中心。
一方、3級では、官庁が公表した実際の文書を題材として、「この文書の本音は何か」を30字以内で要約させる問題が中心となる。
最難関の1級では、筆記試験に加えて面接試験も実施されるという。面接室に入ると、一切何もしゃべらない無表情の人物が座っており、5分以内にその人物が暗に求めている要求を読み取り、実際にこれに応える、というかなり高度な忖度力を求められる試験になっている。
当協会が行った事前シミュレーションによれば、5級の合格率は70%程度、3級で30%、1級は2%程度の狭き門になるという。


さらに当協会が検討しているのが、「忖度士」という資格制度だ。
忖度検定1級を取得した後、社会人として忖度を伴う業務を3年以上積んだ者に与えられるという形が現在想定されている模様だ。
当協会では、「業務の多様化等の影響で、働く者同士の円滑な意思疎通が次第に難しくなりつつある現代社会では、忖度士は絶対に欠かせない『潤滑油』として活躍できる」とし、すべての事業所に対し、従業員50名ごとに1名以上の忖度士を配置する、という提言も同時に行う予定だ。



忖度をめぐり政局になりかねないこのタイミングで今回の企画を公表したことについて、文部科学省等は怒り心頭だ。
当協会では役所の歓心を買うべく「勤続20年以上の国家公務員全員に、無試験で『忖度士』の資格を付与する」という懐柔策を持ち出したが、「そもそも忖度検定の運営者自身に全く忖度能力がない」と火に油を注ぐ結果となったようだ。



今のところ、忖度検定の受験を人材育成計画に採用しようという企業の動きは皆無ではあるが、当検定の今後の行方や、当協会が打ち出す次の検定制度に注目が必要だ。