ボーナス支給方法の多様化進む−伝書鳩を活用する例も

注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。


また今年も夏のボーナスシーズンが到来した。近年,企業によるボーナス支給方法に様々な工夫が見られるようになってきている。本日はそんな事例の一部をレポートする。


「会社の業績は社員の努力だけではなく,運によっても左右される。そのことを,ボーナスを通じて是非社員に理解してもらいたい」というのは,大手機械メーカーK社の幹部。同社の業績は為替相場により大きく左右され,営業部門の努力により受注を20%伸ばしても,為替変動で全て水の泡に消えることも珍しくない。そんな同社が昨年から採り入れたのは,「業績と星座による賞与評定制度」。これは,賞与のファンドを2分割し,半分は社員の業績評価に基づき配分,残り半分は誕生日が属する星座により配分するというもの。後者については賞与支給日朝に放映される民放各局の星占いの星座別ランキングで決定し,トップの星座に属する社員にファンドの50%を配分するという相当極端な傾斜配分となっている。この制度を導入して以来,賞与支給時に行われる評定理由の説明は,「業績面では文句の付けようがないが,みずがめ座生まれというのが足を引っ張った」「業績では正直物足りない面が多々あるが,さそり座生まれで良かったな」など,悲喜こもごもの説明がなされている。全体として好評ながら一部社員から不満が出ていることについて,「公平感を高めるべく,来年度からは血液型も絡めることを検討している」としている。



現物支給を行う会社も少なくない。液晶テレビ最大手のS社のボーナスは,現金支給と現物支給を併用しているが,現物支給は「液晶テレビつかみ取り」によるという。16型から47型まで様々なタイプの液晶テレビが並ぶ倉庫が会場となっており,社員は順番にクレーンゲームのクレーン部分に吊り下げられて倉庫内に入り,つかみ取りにアタックする。21型から32型前後のものを1台掴んでゲットするのが平均的であるというが,これまで最高で「37型3台・32型1台・26型3台」を一度に掴んだ社員もいるという。こうした取組みを行う理由について,同社では「社員にはわが社の製品に対して精神的な面だけではなく,物理的にも愛着心・執着心をもってもらいたいと考え導入したもの」とコメントしている。ちなみに一旦掴んだ商品を途中で落として壊した場合はその社員による買取りとなるため,欲張った挑戦にはリスクも付きまとっている。



支給方法についても工夫が見られる。文具品卸大手のC社では,ボーナスを現金で支給するが,オフィスで支給せず,伝書鳩に託して社員の自宅に送り届けている。こうした方法を採用する理由について同社では「平和の象徴である鳩が,幸福の象徴ともいえるボーナスを運んでくるという演出を行うことで,心理的にはボーナスが20%程度増えたように感じられる」というコンサルタントの意見を採り入れたものだと説明している。年2回のボーナス支給のために同社では人事部内に「伝書鳩育成課」(課長以下12名)を一昨年設け,全社員の自宅に確実にボーナスが届けられるよう,伝書鳩の訓練に日々汗を流しているという。ただ,伝書鳩である以上100%確実に届けるのは不可能。毎年,ボーナスを届ける途中で伝書鳩が失踪する割合が20%程度あり,結局ボーナスをもらえない社員もいるという。こうした点について同社では「次回はきちんと鳩が到着するよう労使一体となって祈りたい」と真正面からの回答を避けている。



ボーナスを全てマイレージで支給するのは航空会社大手のS社。もともとは会社の業績悪化を背景に,「マイレージで休暇に旅行をする暇がないほど働かせれば,いずれ失効して事実上ボーナスがゼロになる」という密かな狙いをもって導入した制度であったが,ここ数年の間に他企業・他サービスのポイントとの交換プログラムが整備されたため,様相が一変している。ほとんど全ての商品は,マイレージ楽天市場等のポイントに変換してこれを商品代金に充当することで購入可能になっている。例えば,「液晶テレビ(32型)」は東京−ニューヨーク間を3往復できるマイルで購入可能であり,「自家用車(レクサスSC)」は同115往復分,「免震構造住宅(5LDK)」は同850往復分で購入可能になっている。ただ,交換プログラムどうしの相性によりポイントが目減りするケースや,逆にポイントが実質的に増加するケースがあるため,最近同社社員は「プログラム間裁定取引」に熱を上げていると言う。30,000マイルのマイレージをプログラム間裁定で150倍にまで増やした「マイレージわらしべ長者」も発生しており,同社では「そろそろ考え直す時期が来ている」と見ている模様だ。