ここまで進んだ「オフィス革命」−森ビル株式会社の挑戦

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

今,六本木ヒルズ内のとあるオフィスで異変が起きていることをご存知だろうか。
「在宅勤務」「フリーアドレス制」「完全ペーパーレス」等,近年のオフィス改革を超える取組みを追った。

六本木ヒルズ10Fに入居している森ビル株式会社。
オフィスエリアに入ると,一般的な島状のデスクが並ぶ,ごく普通の職場風景が広がる。
ただ,これらのデスクを見渡す位置にある本部長席や部長席が,異彩を放っている。窓際に並んだこれらの席のうち数か所には机が無く,代わりに,ドラムセットが設置されているのだ。

午前8時。「おはようございます」というあいさつとともに社員らが続々と出勤してくるその中に,都心再開発本部・副本部長の中上隆之さん(51)の姿もあった。
中上さんは,朝日をを浴びて銀色に輝く,TAMAブランドのドラムセットの椅子に座ると,おもむろにベースドラムをゆっくり,そして徐々にスピードを上げながら刻み始めた。
そのビートに乗るかのように,社員らが次第にスピードを上げながら始業の準備を進めていく。

そして午前9時,スネアドラムを叩きまくり,既に汗だくで上半身裸になっている中上さんが激しくシンバルを打ち鳴らすと,社員らは一斉に「取引先に行ってきます!」と全力ダッシュでオフィスを飛び出していった。
そう,同社では昨年から一部の社員の机を取り上げ,その代わりにドラムセットを与えているのだ。


そうした理由について,同社の森社長は語る。
「50代以上の社員に,ITリテラシーがあまりに低い輩が多いのです。PCも満足に操作できない上,せっかく全員に貸与している最新鋭のスマートホンも全く使いこなせていない。ある社員がこのスマホを専ら『万歩計』として使用しているのを見て,『ああ,彼らにそういう仕事をさせてはダメだ』と確信したのです」
そして森社長は,50歳以上の全社員を対象としてITスキル試験を実施し,合格点を取れなかった社員からはPCや机を取り上げ,代わりにドラムセットを与えることにしたというのだ。
「こういう社員には,緻密な仕事を求めるのではなく,職場全体を鼓舞激励するような役割を与えた方が会社全体が活性化するのではないか,と考えたのです」と森社長はその狙いを明らかにする。


ITスキル試験で不合格となり,社内で「ドラム族」と呼ばれるようになった中高年社員らは最初,「中高年イジメだ」と反発していたが,「嘆いていても仕方がない」と考えた数名の社員らはヤマハ「大人の音楽教室」に通い始めるなど,ドラムの基本的な演奏技術を身につける努力を続けた。

そうした社員らのなかで,一際光り輝く才能を開花させたのが先の中上さんだ。
中上のドラムには,人の挑戦心を掻き立てる何かがある」と森社長も絶賛する。実際,中上さんがドラムを与えられてからというもの,都心再開発本部の業績は急上昇を続けており,テンションMAXの部下達が続々と大型プロジェクトを獲得し続けているという。
その噂は既にプロの世界にも届いている。近く行われるポール・マッカートニーの来日公演では,サポートメンバーとしてステージに立つことが内定しているなど,中上さんは「何が本業なのか分からなくなってきました」と笑う。

勤務時間終了の午後6時になると,今度は同社CSR推進部の部長,堅田剛士さん(53)が,ボンゴで静かなリズムを奏ではじめ,一日猛烈に働いた社員らの心を徐々に静めていく。
「これをやらないと,社員がテンションMAXのまま朝まで飲み会をやってしまい,明朝には白い灰になってしまうので(笑)」と堅田さんは優しく笑う。


この取組みには数多くの企業が強い関心を寄せているものの,「実際に踏み切るのはちょっと…」ということで,実際に追随したという事例はまだ出ていない。しかし,今後の日本企業の業績を爆発的に伸張させるかもしれない同社の取組みには,引き続き注目が必要だ。