「裁判員制度」の類似制度続々と−金融員制度,審判員制度・・・


注意:本記事は,現時点において事実ではない情報を大量に含んでおります。登場する法人名・個人名等も実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みいただきますようお願いします。


2009年までにスタートする裁判員制度。抽選で選ばれた有権者が,よほどの事情が無い限り指定された裁判への参加を義務付けられる制度であり,国民の認知度を向上させるために様々な取組みが進められているところだ。そんな裁判員制度に便乗する形で,今国会で密かに2つの法案が可決され,2008年以降施行されることは意外と知られていない。柳沢発言をめぐる国会混乱のどさくさにまぎれて可決されたこれらの法案とその影響を追った。
2009年から施行されることになったのは「金融員法」。
現在,金融機関では不祥事防止等の観点から全ての職員が最低1週間以上,連続休暇取得等により職場から離れることが「金融検査マニュアル」で求められている。しかし,不祥事が一向に減らないことから金融庁ではこのマニュアルを昨年改正し,移行期間を経て2009年4月以降は全ての金融機関の役職員について,連続4週間以上の職場離脱を義務付けることが決まっている。
しかし金融機関側は「1ヶ月も職場を離脱されると業務運営に重大な支障が生じる」と猛反発しており,これを受けて全銀協が何らかの対応策を金融庁に強く求めていた。そこで金融庁では,裁判員制度にヒントを得た「金融員制度」を考案,周到な根回しを経て今般の法案可決にこぎつけたもの。
この法案のポイントは,裁判員制度同様,抽選で選ばれた有権者がよほどの事情が無い限り,指定された金融機関に出向き,職場離脱中の役職員に代わってそのポストで1ヶ月勤務する義務を負うというもの。
金融庁では当初,業務には専門知識も必要なことから「金融機関相互で職員を回しあって対応するのがよいのでは」という案を持ち出そうとしていた。しかし,官邸サイドからは「金融機関どうしでは馴れ合いも発生する。金融機関は社会の公器でもあるのだから,抽選で選ばれた国民を派遣して,監視も兼ねつつ働いてもらう意義は大きい」「専門知識のない一般市民でも理解できるように業務を組み立てなおすことが,真に顧客志向の金融機関に生まれ変わる早道だ」として,金融員制度の導入を促す意見が出され,これを反映する形で法案がまとめられたもの。
職場離脱をしている金融機関職員は常時10万名を下らないと想定され,常に10万名以上の「金融員」が選ばれる見込みだ。裁判員と比較しても格段に選ばれる確率の高い制度となるが,派遣される先もポストも全て抽選で決定されるため,「大学生のメガバンク頭取」や「世界最高齢の為替ディーラー」などが誕生する可能性もある。「活躍次第ではそのまま採用してそのポストで継続勤務してもらうことも検討する」(メガバンク首脳)とする先も多い。これからの金融機関役職員は,休んでいる間に金融員に仕事を奪われないよう,日頃から業務にますます精を出す必要がありそうだ。


一足早く2008年1月から施行されるのは「審判員制度」。プロ野球Jリーグの審判員らの強い要請を受けて,文部科学省厚生労働省が共同で提出し可決されたものだが,こちらはややその制度の趣旨が変わっている。
999回の正しい判定は全く評価されず,たった1回のミスジャッジでものすごい批判を浴びる審判は,孤独でストレスのたまる職業。審判らは内輪の飲み会で「どんなに難しいか知らない奴らが勝手なことを言うな!」「そんなに批判するなら自分でやってみろ!」と毎度大荒れしていた。この様子に,スポーツを所管する文部科学省と労働問題を所管する厚生労働省では常日頃から心を痛めていた。
そうしたなか,これら両省の職員が考案したのが「審判員制度」。抽選で選ばれた国民を,プロ野球Jリーグの審判として登用し,実際に試合を裁かせるというものだ。裁判員制度と異なるのは,趣旨を踏まえて対象者を「誤審について文句を言ったことのある有権者」に絞っているところだ。どのようにして調べたのか,両省では既に30万名程度の候補者リストを所有しているという。審判らは「早く彼らのジャッジに大声で文句を付けたい」と大いに楽しみにしており,彼らのストレス解消という目的は早くも達成されつつある。

政府ではこうした取組みが他にも応用できないか研究していく方針だが,社民党が早速「抽選で選ばれた国民に有無を言わせず仕事をさせるのは,徴兵制に通ずる発想。そうした悪用がされないようしっかり監視していく」と噛み付いている。これらの制度がどこまで国民生活に受け容れられるのか,注目が必要だ。