主要企業,花粉症対策に本腰


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年々,花粉症に苦しむ従業員が増加してきていることを受けて,本邦主要企業が相次いで花粉症対策に本腰を入れ始めた。
今年は暖冬の影響で,1月末に東京都心でスギ花粉が確認されるなど,例年以上に早い時期から花粉症患者の増加と症状の深刻化が懸念されている。暖冬の背景には地球温暖化の影響があるとされ,来年以降も同様の傾向が予想されるが,多くの企業にとって1−3月は,決算期末を控えて事業計画必達のために追い込みをかけなければならない時期。そんな時期に多くの従業員が花粉症に苦しみ,その本来の能力を十分に発揮できないとなれば企業にとっても多大な損失を被ることになりかねない。また,今国会で労働基準法改正案が成立すれば,社員の長時間の時間外労働に対して支払う時間外手当の大幅上昇が見込まれる。
このように「就業時間中の業務効率アップ」という問題をクリアする必要があることから,従業員を花粉症の苦しみから救う必要性が高まったものと見られる。
数多くの企業が取り組んでいる花粉症対策は,大別すると,(1)花粉の徹底除去(2)「毒をもって毒を制す」スキーム(3)花粉からの逃避(4)徹底した体質改善 の4タイプに分かれている。それぞれのタイプにおける代表的な取組み例をまとめてみた。

第一生命が取り組んでいるのは,「オフィスに一粒たりとも花粉を持ち込ませないこと」(人事部)。出勤した社員は,通用口に設けられたエアシャワーを浴び,通勤途上で衣類に付着した花粉を払い落とす。その後,全ての社員が花粉症の時期のみ設けられる更衣室に次々と入っていく。そこで社員は,出勤時に着用していた衣類を全て脱ぎ,会社が用意した全身タイツ(完全浄化済)に着替え,さらにエアシャワーを浴びた上で自分の職場に向かう。「衣服に付着した花粉は,エアカーテンだけでは完全に除去するのは不可能。そのため,表面を特殊コーティングして花粉が一切付着しないようにした全身タイツに着替えさせることで,『花粉フリー』のオフィス環境を実現させることにした」と同社人事部は胸を張る。
タイツの色は担当者が白,課長クラスが黄色,次長クラスがオレンジ,部長クラスはピンク,役員は紫となっており,出席者の色を見るだけでどういうレベルの会議か分かるなど「分かりやすい」と評判もよい。タイツにはICタグも織り込まれているため,どの社員が今どこにいるかが即座に検知できるのも好評だ。「セキュリティ高度化対策として有効だと考えられるので,全身タイツの通年着用化も検討したい」と話が進んでいる模様だ。
たまに帰宅時に着替えを忘れて全身タイツのまま電車に乗り込んでしまう社員もいるなど,今やこのタイツは社員の肉体と精神に完全にフィットしている。

2月1日から,オフィスの空調用ダクトにすりおろした本ワサビを付着させているのは三井住友銀行。「花粉とは異なる刺激物をオフィスに充満させることで,花粉症の苦しみを忘れさせる」という,同行ならではのスパルタ式の対策だ。担当行員5名は毎朝5時に出勤,伊豆・天城産の高級本ワサビ200本をサメ皮で丁寧におろしていく。2時間後,すりおろした本ワサビを,各フロアのエアコンの吹出口付近にヘラで擦り付けていく。午前8時になり,全館で空調が開始されると,5分もしないうちに本ワサビの辛み成分であるアリル芥子油が揮発して館内の全行員に襲い掛かってくる。「あまりの刺激に花粉症の苦しさも忘れてしまう」という行員の感想は,まさに同行の思惑がズバリ的中したことをあらわしている。「花粉症の行員にも効果があったが,ワサビのお陰で行内の空気が名実ともにピリッとしてきており,行員の仕事ぶりも一段とキビキビしてきた」と思わぬ効果も出ている模様で,こちらも「ワサビ付着の通年化」を検討しているという。

花粉症がひどくなる2月から4月までの3ヶ月間を集中休業期間としたのはサッポロビール園。もともとこの期間は客も少ないため,「花粉症に苦しみながら接客するよりも集中して休んで,その他の期間は休みなしで働いたほうがいい」という判断だ。3ヶ月間たっぷり休んだ社員は,5月から翌年1月末まで,1日たりとも休まず働き続ける。普通の社員にとってはある意味いい迷惑だが,「花粉症に優しい企業」としてネットで評判が高まっており,全国から重症の花粉症患者が就職を希望して集まってくる様は,花粉症の名医がいる病院さながらだ。

フカヒレに花粉症体質を改善する効果があることを突き止めた伊藤忠商事では,社員食堂で毎日「フカヒレ尽くし」の昼食を提供しており,社員に好評だ。
「1日に150g以上のフカヒレを摂取すると抵抗力が格段に高まる」という米国・サウスコモンウエルス大学健康学部への委託研究成果に基づき出されるメニューは「フカヒレの姿煮」「フカヒレ炊き込みご飯」「フカヒレラーメン」「フカヒレ丼」など50種類。同社では福利厚生の一環として昼食は無償で提供しており,連日行列が続いているという。
ただ,高級食材のフカヒレだけにそのコストは膨大なものとなっており,同社では昼食の無償提供は続けるが,その間給与の90%カットを行うことで労働組合と合意している。毎日フカヒレ尽くしのランチを食べた社員が帰宅すると,家族が毎晩お茶漬けを食べている,という事例が増加しており,「花粉症は大丈夫になってきたが,何となく家での居心地が悪くなってきた」と訴える社員が急増,新たな問題の登場に同社では頭を抱えている。

最近の学生の花粉症罹患率は7割を超えているとの報告もあり,花粉症対策の巧拙が来年以降の新卒採用戦略の鍵となりつつある。今後,どのような策が登場してくるのか,ますます注目される。