激闘!ブロイラーVS人間

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


ブロイラーと人間の知られざる「死闘」が,九州地方で繰り広げられている。


熊本県のとある農家。トマトが育つ温室の周囲は,鉄条網で厳重に囲われたうえ,常に数名の見張り番が目を光らせている。
彼らが警戒しているのはイノシシやシカ,サルなどではなく,ブロイラーだ。

このトマト農家の近隣では,数年前に養鶏場から大量のブロイラーが脱走するという事件が発生している。
高栄養の餌を与えられながらも運動不足のまま育ったブロイラーの大半は運動能力が低く,無事捕獲されたが,1,500羽程度はそのまま山中に姿を消し,脱走に成功した。

これらのブロイラーは,近隣の温室に忍び込み,トマトで飢えをしのいでいたが,継続的に食べているうちに運動能力が飛躍的に向上,人間に見つかっても容易に逃げられるようになった。
この現象を最初に発見したのが京都大学の研究者らで,鶏の健康状態が改善した理由を追究した結果,「トマトに中性脂肪低減効果がある」という発見につながったのは記憶に新しいところだ。

こうして運動能力を向上させたブロイラーらは,半野生化してトマトを食べて繁殖しつつ,近隣の養鶏場を襲撃しては仲間を逃そうとするため,養鶏業者とトマト農家の双方に深刻な被害をもたらしている。このため,両者が連携し,被害撲滅のために立ち上がったものだ。


彼らは交代制で24時間,温室周辺の監視を行っている。
トマトを守るとともに,侵入してきたブロイラーを捕獲し,これを市場に出荷することで,一石二鳥を狙う作戦だ。
トマトをたっぷり食べ半野生化したブロイラーは,「本格的な地鶏に負けない深みのある味」「トマト風味がしみこんでおり,特に洋風料理には非常にマッチする」と高い評価を集めているのだ。
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=26420


ただ,ブロイラー側も黙ってはいない。
温室付近に侵入してきたブロイラー達は,静かに見張り番の人間に接近,周囲を取り囲むと,あっという間に組体操の要領でドーム状になり,中に見張り番を閉じ込めていっせいに嘴で攻撃するという。
先月29日に見張りを行っていたトマト農家の岩崎菊一さん(48)は,突然「目の前が真っ白になった」と思った次の瞬間,逃げ場のない狭い空間で200以上の嘴で突っつかれ,作業着をズタズタにされるという被害にあった。
見張り番らが「鶏かまくら」と呼んで恐れるこのブロイラーの攻撃に対抗すべく,嘴の鋭さでは定評のあるカラスを呼び寄せてみるという案も検討されたが,「カラスが群がるトマト畑,というのは印象が悪く,トマトの商品価値が下がる」として見送られた。


現在のところ,見張り番を大幅に増員することでブロイラーの脅威に対抗しようとしているが,1月以降の戦いは5勝0敗と,ブロイラー側が圧倒している。
人間側の新たな対抗策として「土佐の軍鶏を味方に付ける」作戦が練られているが,「結託されると手が付けられない」との慎重論も出ており,実現可能性は低いとみられる。



関係者らは「今後,どのような対策を取るにしても相当なコストを要する」として,鳥獣被害防止総合対策交付金を申請する方針だ。
ただ,交付金の対象となる「鳥獣」の定義は「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」(鳥獣被害防止特別措置法第2条)となっており,農林水産省では「ブロイラーは野生動物とは言えず,交付金の交付には法改正が必須」と判断している。
一方で,「与野党の対立で混乱する今国会に,『ブロイラーに襲われて大変』などという話を持ち出すと混乱に輪をかけることになる」(同省幹部)と懸念する声もあり,法改正の実現は難航する見通しだ。



いつになれば関係者の悩みは解消するのか,また来週も人間が何かと戦うことになるのか,注目が必要だ。