激闘!ズワイガニVS人間

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ズワイガニと人間の知られざる「死闘」が,山陰地方で繰り広げられている。


島根県のとある農家。契約栽培のケール(青汁の原料)畑は,鉄条網で厳重に囲われたうえ,常に数名の見張り番が目を光らせている。
彼らが警戒しているのはイノシシやシカ,サルなどではなく,ズワイガニだ。

ここ数年,日本海から大量のズワイガニ島根県沿岸に上陸し,ケール畑に押し寄せてはその鋭いハサミで茎を切断する場面が頻繁に目撃されている。ズワイガニらは海岸までケールを丸ごと持ち去り,硬い芯の部分を残して葉の部分を猛烈な勢いで食べているという。
こうしてケールを大量摂取したズワイガニは,甲羅が緑色を帯び,殻の中の身からも強いケール臭が漂うため,「カニと青汁が大好物の人にはたまらない美味さ」(青汁愛好家)とはいえ,「市場で値が付かなくなる」(ズワイガニ漁師)と嘆かれている。
生物学者らは,「突然変異でケールを摂取・消化する能力を持ったズワイガニが,人間に捕獲される確率が大幅に下がったため一気に繁殖,増加したものではないか」と分析している。

こうしたズワイガニの行動は,ズワイガニ漁とケール栽培の双方に深刻な被害をもたらしていることから,農業者・漁業者が連携し,被害撲滅のために立ち上がっている。
彼らは交代制で24時間,畑の監視を行っている。ケール畑を守るとともに,上陸してきたズワイガニがケールを食べる前に捕獲し,これを市場に出荷することで,一石二鳥を狙う作戦だ。


ただ,ズワイガニ側も黙ってはいない。
上陸した数千杯のズワイガニは,組体操の要領でがっちりスクラムを組み,体長5m,総重量2トン程度の堅牢な巨人の姿に変身してケール畑に移動,まずは見張り番を排除すべく襲いかかるという。
先月15日に見張りを行っていたケール農家の岩崎菊一さん(48)は,突然背後から数千個のハサミに襲われ,着ていた作業着をズタズタにされながら,間一髪でその場を脱出した。


「目には目を,ハサミにはハサミを」ということで,対抗策として数千匹のオオクワガタをケール畑にばら撒く案も検討されたが,事前にズワイガニとオオクワガタ10匹を対戦させてみたところ,ズワイガニの圧勝に終わったため断念された。
現在のところ,見張り番を大幅に増員することでズワイガニの脅威に対抗しようとしているが,1月以降の戦いは7勝1敗と,ズワイガニ側が圧倒している。
人間側の新たな対抗策として「タラバガニを味方に付ける」作戦が練られているが,「どうやって味方にするのか」「結託されるともはや打つ手が無くなる」との慎重論も出ており,実現可能性は低いとみられる。


関係者らは「今後,どのような対策を取るにしても相当なコストを要する」として,鳥獣被害防止総合対策交付金を申請する方針だ。
ただ,「鳥獣」の定義が「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」(鳥獣被害防止特別措置法第2条)となっており,カニのような甲殻類までは想定されていないことから,農林水産省では「交付金の交付には法改正が必須」と判断している。
しかし,「与野党の対立で混乱する今国会に,ズワイガニとかケールとかいうややこしい話を持ち出すと混乱に輪をかけることになる」(同省幹部)と懸念する声もあり,法改正の実現は難航する見通しだ。


「この際,ズワイガニを青汁の原料にしてみる」等,逆転の発想からの打開策も練られているが,関係者の悩みが解消するまでには相当な時間がかかりそうだ。