「子供がなりたい職業」に政府が注目−産業構造を抜本転換へ

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政府の「日本経済再生本部」が,わが国の成長力を抜本的に高める対応案を打ち出した。
28日の第6回会合で提案,了承された「全ての国民が,子供の頃になりなかった職業に必ず就業できる制度の導入」がそれだ。


この日の会合では「日本の競争力低下の原因」をめぐる議論が続いたが,ある委員が「本当にやりたい,好きな仕事に就けていないのが根源にあるのでは」と発言。
この意見について,多くの委員から「好きな仕事であれば誰もが本気で頑張れる」「自分も本当はJリーガーになりたかった」など賛同する声が相次ぎ,冒頭の方針決定に繋がったもの。


これを受ける形で,再生本部傘下の「産業競争力会議」は29日の会合で急遽,本件の具体化のための論点整理を行った。
主な論点は「何歳時点の『なりたい職業』を対象とするか」「職業の極端な偏在にどう対応するか」の2点。


子供の「なりたい職業」は,年齢とともに大きく変化することが知られている。
例えば,小学1年生の場合,男子・女子とも「アニメのキャラクター」になりたいという回答がトップ10に入っているが,中学生のランキングからは姿を消しており,逆に「会社員」が男子の2位にランクするなど,現実的な回答が急増する。
産業競争力会議の議論では,「会社員とか公務員といった現実的過ぎる夢では本気で頑張れない」という意見が圧倒的であり,「小学1年生時点のなりたい職業を対象とする」ことで意見がまとまった。


2つめの論点となる「職業の偏在に対する対応」は,より現実的な問題だ。
小学1年生のうち,ケーキ屋になることを希望しているのは全国で10万人程度であり,歌手希望は5万人程度,アニメキャラクター希望も2万人程度存在している。今後もこの傾向が続き,かつ職業人生が50年続くと仮定する場合,日本全国にケーキ屋が500万人歌手が250万人アニメキャラが100万人もあふれかえる,という試算となる。
総務省の家計調査によれば,ケーキの一世帯あたり年間消費額は約5,400円。日本の総世帯数が約5,000万とすれば,ケーキの年間売上高は約2,700億円となる。つまり,ケーキ屋さん1名あたりの年間売上額はわずか54,000円となり,到底生活できる水準ではない。
同様に,音楽・映画などのCD・DVD購入額は1世帯平均年間3,500円程度であることを考えれば,歌手志望者250万人の生活を成立させるだけの需要が足りないのは明らかだ。


このため,産業競争力会議では「供給が急増する職種について,見合いの需要を作る」という経済学の基本に則った考え方のもと,具体的な対応策が議論された。
「ケーキ需要を喚起する」策については,?新たな食育「一汁三菜七ケーキ運動」の展開 ?売れ残りケーキを買い取り,付加価値を付けて再販売する「ケーキ産業活性化支援機構」の設立 を打ち出した。


「一汁三菜七ケーキ運動」はその名のとおり,バランスの取れた食事の例として,汁物1品・おかず3品・デザートのケーキ7種類を提案するものだ。
農林水産省の試算によれば,全国民がこの運動に賛同し,一日三食全ての機会にケーキ7個を食べれば,ケーキの年間消費額は現在の200倍に増加することとなり,500万人のケーキ屋さんの生活が成り立つ可能性が出てくるという。
ただこの案には「国民の健康が阻害され,医療費の急増が見込まれる」と厚生労働省が強い懸念を示している。この懸念に対しては,「ケーキ産業活性化支援機構」で,売れ残りケーキから余計な糖分や油分を除去し,食物繊維等を加えたヘルシーケーキに生まれ変わらせることで対応してはどうか,という意見が出ている模様だ。


同様に,歌手志望者の生活を成立させるために,強制的にCD・DVD販売を増加させる策として,?労働者に対する給与支払のうち10%を上限として「音楽CD・DVD」による現物支給を可とする ?国立国会図書館が毎年10兆円規模の予算を投じて国内で発売される全てのCD・DVDをそれぞれ100枚ずつ収蔵用として購入する 等の案も議論されているところだ。


なお,アニメキャラクターになりたいという希望は,そのままかなえることは物理的に困難であるため,近年大ブームとなっている「ゆるキャラ」の着ぐるみに入ってもらうことで夢を実現した,とみなす扱いが予定されている。
そのためには「現在のゆるキャラの数が少なすぎる」という点が課題として認識されており,「全国で50万点のゆるキャラ誕生」を政策目標とすることが議論される見込みだ。


こうした職業だけで日本が本当に成り立つのか,不安視する声もあるが,小学1年生男子の人気職業ランキング7位には「職人」が入るなど,意外と子供の夢には幅があるため,「全体としてみれば何とかなる」というのが委員らの見方だ。
新しい日本の姿がどうなるのか,産業競争力会議の議論に注目が必要だ。