新国立競技場問題,意外な展開で決着へ―総工費が20億円に激減


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

「コンパクト五輪」のコンセプトが徐々に崩れるなど,当初の構想からのずれが目立ち始めた2020年東京オリンピックパラリンピック開催プロジェクト。
権限が不明確な五輪担当大臣まで設置され,今後の混迷が一段と深まることも懸念されているところだ。
中でも特に迷走ぶりが際立つのが「新国立競技場」建設問題だが,コストを一気に100分の1に削減するという劇的な案が登場,決着に向けて大きく前進することになった。



これは,さる8日に設置された国と東京都の合同検討チームの初回会合で,舛添要一東京都知事から遠藤五輪担当大臣への申し入れがきっかけとなったもの。



知事は「競技場建設プロジェクトに,『リスク・リテンションルール』を導入するならば,東京都として応分の建設費負担に応じる用意がある」と申し入れた。

リスク・リテンションとは,国際金融規制における考え方の一つ。資産の証券化等を行う際に,資産の元来の所有者にも一定割合のリスクを引き続き保有させることで,無責任な取引等の横行に歯止めをかけ,金融取引に規律を持たせるという趣旨のもの。
同様の考え方をこの新国立競技場プロジェクトにも導入し,「新国立競技場の最終的な建設案の決定に責任を負うべき人全てに,個人として建設費用の一部を負担させる」というものだ。
舛添知事は「自分の懐が痛まないから,無責任な建設計画が進んでしまう。全体の1%でいいから,責任者に個人負担させることで,規律ある建設計画が実現されるはず」と説明。
2500憶円程度と言われる総工費の1%と言えば25億円。決定に責任・権限を有する人物は全部で30名程度と言われているため,現行案のまま決定すれば,一人当たり1億円弱の費用負担を求められることとなる。


この提案について,国立競技場将来構想有識者会議,日本スポーツ振興センター文部科学省幹部らは「全く前例のない暴論だ」と猛反発を見せたが,朝日新聞社が実施した緊急世論調査では,この舛添プランに97%が賛成するという驚異的な支持率を記録した。
世論をうまく読み切った知事がリードする形となり,デザイン変更による五輪運営への悪影響を懸念する官邸も「舛添案でやむなし」とこれを了承することとなった。



これを受けて,大会組織委員会日本スポーツ振興センターでは急遽,建設計画の全面練り直しを急ピッチで進めている。

建設計画のなかで「莫大な工費がかかる」として特に問題視されているいわゆる「キールアーチ」については,実際の建設は取りやめて,我が国民が誇る伝統芸「組体操」により構築する案が検討された。
しかし試算によれば総勢8,500名による超大型の組体操となるうえ,アーチの最上部に位置する人間には,左右双方から各150トンもの張力がかかることが判明,「並みの人間には耐えられない」と断念。
代わりに,我が国の最新鋭の技術を駆使した「3Dホログラム」や「プロジェクションマッピング」等によりキールアーチを浮かび上がらせる案が急浮上し,こちらは「組体操に比べればはるかに現実的」と,具体的な検討が進んでいる模様だ。



また観客席についても,本格的な建設は取りやめとして,競技トラックの周囲に大量の土を階段状に積み上げ,その上に小中学校の運動会などでお馴染みの白テントを多数設置するプランに変更。


この案でも,最大6万名程度は収容可能であると試算されており,各国から集まった観客が仲良く身体を寄せ合って,テント内で開会式や競技を見守る,という光景は「新時代の五輪にふさわしいのではないか」としている。

五輪終了後はわずか1週間で更地に戻せるため,跡地活用の自由度が高くなる点も大きなメリットだ。


こうした工夫の積み重ねにより,新国立競技場の建設費用は一気に原案の100分の1に相当する20億円強まで削減が可能になると試算されており,権限者たちの負担も1人当たり70万円程度と,合意可能性のあるレベルまで引き下げられる見通しだ。
この方向性について,競技場のデザインを担当したザハ・ハディド氏は難色を示しているが,IOCは「コストをかけない五輪というコンセプトに合致したプラン」と高く評価。2018年に冬季五輪を開催する韓国からも視察団が訪れるなど,世界的にも注目を集める形となってきている。


当初は建設案見直しに消極的だった官邸も「ここまで劇的に変わるとは」と評価を一変させており,「リスクリテンションルールを導入することで,様々な問題が前進するのではないか」と,その活用に目を付けている模様だ。
早速,28年度予算に向けた各省庁からの概算要求について,「要求額の0.1%を当該省庁の管理職以上で個人負担すること」という指針が検討されている模様で,昨年30兆円を超える概算要求を提出した厚生労働省内は半ばパニック状態になっているという。
また,莫大な防衛費支出が必要な防衛省では「P-3Cなど高価な哨戒機は止めてドローンで済ませられないか」「プロペラ機のセスナを戦闘機として活用できないか」といった事項を真面目に検討し始めている模様だ。


果たして,新国立競技場は最終的にどのような姿を我々の前に見せることになるのか,またこうした動きが,変な形で国のあり方を歪めてしまうことにならないか,関心を持ち続けることが必要だ。