大河ドラマ「利家とまつ」をめぐり騒動−国広富之さんがNHKに抗議(2002年)

注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。



NHK大河ドラマ利家とまつ」が,俳優の国広富之さんとのトラブルから,大揺れに揺れている。 
国広さんによると,「利家とまつ」というタイトルが,国広さんの代表作である「噂の刑事・トミーとマツ」に酷似しているとして昨年11月ごろからNHKに対して善処を求めていたという。しかしNHK側からは何の連絡もなく,今年1月には「利家とまつ」の放映がスタートした。
そしてトラブルが決定的となったのが,3月3日放送分のワンシーン。まつ(松嶋菜々子)が利家(唐沢寿明)の優柔不断ぶりを「この男女!」となじり,この暴言をきっかけに利家が立ち上がり戦に向かうというシーン。
利家が興奮して耳・鼻・頭から蒸気を出しているシーンを確認した国広さんが「これがトミーとマツのパクリだという動かぬ証拠だ」と憤慨し,損害賠償を求めてNHKを提訴したもの。
NHK側では「こちらがパクるメリットがあるのか。仕事のない国広さんの話題づくりでは」とコメント,これがまた国広さんの怒りに油を注ぐこととなった。

12日,頭から蒸気を噴出しながら渋谷のNHKに乱入した国広さんは,利家役の唐沢寿明さんを見かけると,いきなり殴りかかった。不意を突かれた唐沢さんは,馬乗りになった国広さんに好きなように乱打され,全治2週間の軽傷を負った。
結局唐沢さんは,この日の収録に痛々しい包帯姿で参加し,脚本を一部変更することでそのまま撮影が行われた。
収録終了後,唐沢さんは「ひどい目に会ったのは事実だが,同じ俳優として国広さんの気持ちも分かる。どうかNHKには善処してもらいたい」とコメントした。
当初は無視する構えだったNHKも,こうした唐沢さんの意向を無視できず,国広さんとの間で和解交渉を行った結果,現在の「利家とまつ」は一旦この3月で第一部を終了させる形をとり,4月から第二部として装いも新たに国広さんと松崎しげるさんをキャストに加えた「利家とトミーとまつとマツ」として再スタートを切ることとなった。
ところがこれに怒ったのが「まつ」を演じる松嶋さん。「私はお笑いドラマに出るつもりはありません」と3月で降板することを宣言した。

NHKでは慰留に努めたが結局断念,代役を探すこととなった。しかし,交渉した人気女優陣もスケジュールの都合などから折りあわず,結局「責任の一端は自分にもある」と唐沢さんが一人二役で「まつ」も演じることで落着した。
慣れない「まつ」の姿で記者会見に応じた唐沢さんは「自分の芸の幅を広げるいい機会だと考えます」と答えたが,さすがに不安の色は隠せない様子。NHK側も,ストーリーとキャストが大幅に変更されることから「従来とは視聴者層が大きく変わる可能性がある」と警戒心を隠さない。
視聴者としては,一部でマンネリ化も指摘されるNHK大河ドラマを改革する起爆剤となるのか,注目したいところだ。