企業の「選択と集中」で副作用−深刻なトイレ不足が発生(2000年)


注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。また,登場する企業名・団体名・個人名は実在のものとは関係なく,かつ時代の変遷と共に変化・消滅しているケースもありますのでお気をつけください。


各企業が「選択と集中」をキーワードに,戦略部門の絞り込みと経営資源の重点配分を実施する動きが続いているが,こうした動きの副作用として,戦略部門に配置された社員に膀胱炎が急増するという珍現象が発生している。
これは,重点部門の人員が急増する一方で,当該部署等のトイレ数は以前と変わらないため,一人当たりトイレ数が激減していることが原因。各企業とも「経営計画上の盲点だった」(大手商社幹部)としており,それぞれ独自色の強い対策を打出し始めている。

A生命(東京都千代田区)では,人材派遣も含め人員増強を進めている投資関連部門等でこうした問題が発生している。オフィススペースも相当窮屈になってきているが,トイレに至っては,便器1器あたり職員数が男性の場合で実に460名に達しており,常に長蛇の列が出来る状態。「7,8時間待ちという状態も珍しくない」(職員)といい,中には早朝に出勤後トイレ前に並んでいるだけで業務時間が終了してしまったケースもあるという。始業前にトイレに入るためには午前5時前後の早朝出勤が必要であり,また帰宅前にトイレに入ろうとすると午後12時を回ってしまうことも度々で,「何のために勤務しているか分からない状態」(職員)という声も聞かれるなど,事態は相当深刻な様子だ。
こうした事態に対応するため,同社では応急処置としてトイレの個室を4分割し,収容力を4倍にする等の対応を行っているが「信じられないほど使いにくい」(職員)と非常に評判が悪い。抜本的解決策としては,同社が入居しているビルの屋上に2階分の増築を行い,これを全面トイレフロアとする案が検討されているが,現在最上階に入居している役員室から「必要性はわかるが心理的にすごく嫌な気分だ」と難色が示されるなど,調整は難航しているようだ。
一方で,こうした企業の悩みに対処しようというビジネスが早くも登場している。企業の組織再編にあわせてトイレの増設・再配置を短期間で行うというビジネスに取り組むベンチャー企業が続々と誕生しており,最大手の「(株)トイレット博士」(鳥井一義社長)は来月にも東証マザーズでの株式公開を予定している。同社の強みは「耐久性に富み高級感あふれる簡易トイレの活用による超スピード対応」。「毎日組織再編が行われても大丈夫」という,激しい企業の動きに迅速に対応できる同社は,大型再編が続く金融機関中心に次々と顧客を獲得しており,「トイレ業界のユニクロ」と評されるほど。
どこにビジネスチャンスが転がっているか分からない世の中だ。