メタボリック対策で対象者に「愛のムチ」


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


厚生労働省が先月,定期健康診断の検査項目にメタボリック診断のために「腹回り」測定を追加することを決定したが,これを受けた各企業の取組みが話題を呼んでいる。


この決定は2008年4月以降の健康診断(35歳および40歳以上が対象)に適用される予定であるが,各企業が衝撃を受けているのが,メタボリック症候群の疑いのある社員に適用される健康保険の料率が2010年以降,最高で現行の20倍にまで引き上げられるということ。
もともと腹回りを検査項目に追加した狙いは,生活習慣病の予防・削減を通じて医療費を抑えようというもの。こうした狙いを実現するうえでは,検査結果を利用して保険料率を決めるのは当然の流れであるが,保険料の半額は事業主である各企業が負担する必要がある。試算によれば,メタボリック社員1万人の企業では,保険料負担が最大で1,000億円程度増加する可能性があり,「メタボリックで従業員より先に会社がつぶれてしまう」という危機感が急速に高まっている。


NECでは,5月の連休明けから本社ビル内の通路・オフィスの出入口に合計1,850箇所のゲートを設置した。ゲートの幅は25cmと60cmの2種類あり,社員は移動するためにはこのいずれかのゲートを通過する必要がある。幅25cmのゲートは無料で通行できるが,腹回りが邪魔して通行できない社員はその都度通行料の500円を支払ったうえで60cmのゲートを通行する必要がある。腹回り95cmというある社員の場合,会議等で社内を頻繁に移動するため「毎日通行料に使う500円効果を100枚以上持参している」という。同社では「通行料は当社の健康保険料負担の一部に充てさせていただく予定」としている。
また,社員食堂の入り口にも同じゲートが設置されている。25cmのゲートの先には,300円で世界の料理が食べ放題というパラダイスが広がっているが,60cmのゲートの先に用意されているのは「ミネラルウオーター+生野菜」という特製定食のみ。徹底的にメタボリック社員にダイエットを迫ろうという強い意思が感じられる。


金融庁は「メタボリック社員を抱えることで保険料負担の増嵩を通じ経営が悪化するリスクがあり,監督官庁として見過ごすわけにはいかない」として,今後の金融機関に対する検査では従業員の抜き打ち腹回り検査を実施する方針を明らかにしている。抜き打ち検査の結果,メタボリック社員の比率が20%を超えている場合には,全役員および対象社員全員に毎日500回の腹筋運動を課す業務改善命令が発出される見込みだ。
こうした動きにすばやく対処すべく,ある大手銀行では連休の谷間の5月2日夕刻,メタボリック疑惑のある行員を一斉捕獲して貸切バスに乗車させ,伊豆山中の山寺に連行し,6日のGW最終日まで断食修行をさせるという荒業に出ている。


腹回りはスリムであるにこしたことはないが,ここまで極端な取組みが本当に必要なのかどうか,きちんとした検証が必要だ。