消費税に「物納」制度導入へ−実質税率引き上げ狙う


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2008年10月1日から消費税の「物納」制度の試行が開始されることになり,関係者は事前準備に忙殺されている。


今回の参院選では表立った焦点にはならなかったものの,「いずれ消費税の引上げは不可避」というのは事実上,与野党に共通した認識となっている。

しかし,税率引き上げは国民の反発を買うことは確実であり,引上げを決断した政権は短命に終わるのがこれまでの歴史だった。このため,いかにスムーズに引上げを行えるかが今後の国家財政を考えるうえでの最重要課題となっていた。



そんななか,自民党が着目したのが近年の食品の「実質値上げ」。

マヨネーズやチーズ,100%果汁ジュースなど,直接的に値上げを実施した商品も少なくないものの,消費者の反発を恐れる食品業界で原材料価格上昇の転嫁を行う手法は,価格を据え置いた上で商品のボリュームを減らす,というものが主流だ。

この方法だと,実際の支払額が変わらないことから「消費者の反発も限定的になる」と見た政府は,「購入した商品の一部を物納してもらうことで,消費税の支払いを免除する」という方式の導入を検討,法改正のうえ来年4月から施行する方針を固め,今年10月から首都圏で試行を開始することとした。



スキームの概要はこうだ。

消費者が小売店で買い求めた商品を精算する際,商品の10%相当を小売店がカットし,残り90%部分を消費者に渡す。10%部分は物納消費税として,新たに全国500箇所に設置される予定の「国有財産販売センター」に納入され,センターでは納入された商品を販売して換金するというもの。



各業界では,こうしたスキームに対応するための準備に大わらわだ。

現時点でほぼ対応スキームが固まったのは書籍販売業界。

消費者が購入した書籍の最後の10%部分(300ページの本なら30ページ分)を業務用カッターで切り取り,切り取った部分を簡易製本のうえセンターに納入する,というものだ。小説であれば最後の10%部分を読まずに我慢するのは無理で,「センターに納入された10%部分は確実に売れるだろう」と国税庁もこのスキームを了承している。
しかし,マンガ週刊誌などの場合,人気の低い連載作品が最後の方のページに掲載されるケースが多く,このような場合には売れ残ることが懸念されるため,国税庁は週刊誌発行各社に対して「掲載順序に工夫を施すように」との要請を行う模様だ。



モノと異なり扱いが難しいのがサービス。JRや航空各社では,物納制度に対応した新しいルールを一応策定したものの,「利用者の混乱を招かないか」と懸念している。

JR東海が設ける予定のルールは,切符に記載された乗車区間の90%を過ぎた地点で下車してもらい,残りの区間の乗車券を別途発行してこれをセンターに納入する,というもの。
東京から名古屋に出張するサラリーマンの場合,豊橋駅で下車させられることになるが,追加で料金を支払うのがイヤであれば名古屋まで歩くか,出張で面談する予定の相手に豊橋まで出てきてもらうしかない。

航空機の場合も同様のスキームになる見込みで,東京から福岡に向かう場合,山口宇部空港新北九州空港に着陸,降機させられることになる。全日空日本航空では「直接福岡に向かいたい場合は,長崎行きにご搭乗ください」と説明している。



しかし一番扱いが難しいのは,やはり生鮮食品。精肉30g,コロッケ3分の1個など,非常に細かな食品が大量に納入されることが予想されるため,これをどうやって換金するかが大きな課題となっていた。

国税庁では「バラ売りするのは事実上無理。色々な食品をまとめて『弁当』にすることで付加価値を付けて販売していきたい」としており,同庁課税部に新設された物納消費税室内に「弁当第1係〜第3係」を設置。1係が和風弁当,2係が洋風弁当,3係が中華風弁当の作成企画・指揮を担うこととしている。

日々納入される食品の種類は安定しないため,これらの係がいかに機動的かつ柔軟に弁当を組み立てて販売するかが国税収入を大きく左右することになる。

現在これらの係では,弁当製作のシミュレーションを繰り返しており,「クリームコロッケは洋風弁当だがポテトコロッケは和風でいいのか」「唐揚げは和洋中のどれに属するのか」「ピラフと炒飯の見分け方は」等,実務上問題になると予想される点について,連日深夜まで詰めた議論を行っている。

なお,どの弁当でも使えない材料については,これらをまとめて詰め込んだ「国税庁長官の気まぐれ弁当」として販売する予定だという。



こうした取組みが果たしてどの程度の税収増につながるのか,世界中の税当局の注目が集まっている。