名刺業界に続々「新顔」−昆布,しゃぶしゃぶ,TPP…

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



自分を印象付けたいビジネスマンと,販売単価の引上げを実現したい業者のニーズがマッチする形で,名刺の多様化が急速に進んでいる。


景気が悪くなればなるほど営業活動に注力するため,名刺印刷業界は賑わう,と言われている。
しかし実際には,業者間の競争激化により名刺の販売価格は急激に下がっており,一般的な名刺であれば100枚で1,000円以下という水準も珍しくない。
そうしたなか,単価は高いがとにかく目立つ名刺が続々と登場し,一部ビジネスマンの人気を呼んでいる。


A社の長野栄吉さん(62)の名刺は,何と利尻昆布だ。

食塩の粒を貼り付けて組織名や名前などを表示しているこの「昆布名刺」は,「1枚でちょうど4人分のお吸い物の出汁が取れる」ということで,受け取った相手に大変喜ばれるという。
出汁をとった後は食べられたり捨てられてしまうことが多いため,名前を覚えてもらえないのが欠点だが,相手に強烈な印象を残すことだけは間違いなく,同会の代表電話には毎日10本以上,「昆布の名刺の人をお願いします」という電話がかかってくるようになったという。

鍋の季節に人気の,「しゃぶしゃぶ用餅」を使った名刺も発売されているが,同じように名前が分からなくなってしまうという欠点のほか,「自分が鍋の中で煮込まれているようで抵抗がある」という理由で,業者の狙いほど注文は集まっていないようだ。


御社と弊社の取引が万年にわたり続きますように」という願いを込めて,B社の片山喜一郎さん(33)が配り歩いているのは,世界でも例のない「亀名刺」だ。
体長6cmほどのミドリガメの甲羅に,会社名や名前等を彫り込んで配っているという。
きちんと育てれば30年は生きるうえ,餌をやるたびに甲羅が目に入るため,宣伝・認知効果はバツグンだ。
しかし,相手に亀名刺を渡して商談に入ったところで,テーブルの上に置かれたミドリガメが勝手に逃げ出そうとしてしまい,たびたび話を中断せざるを得なくなるなどの問題もあるようだ。
片山さんは,「もっと落ち着きがあり,かつインパクトのある名刺を作って欲しい」と業者に依頼しており,早ければ3ヵ月後にも世界最大級の「ウミガメ名刺」が出来上がる予定だという。


小さな名刺に大量の情報を盛り込みたい,というニーズに応えているのが,シールをめくると裏面が現れる「シークレット名刺」だ。
C社の葉山武志さん(28)の場合,この名刺をベースに業者にさらに一工夫してもらい,世界で唯一と思われる「袋とじ名刺」を持ち歩いている。
名刺の「切り取り線」に沿って丁寧に切り開くと,中からは葉山さんが中学時代に書いたポエム,その後一転してヤンキーになった高校時代のヤンチャな写真など,恥ずかしい情報があふれ出てくるという。
葉山さんがこの名刺を配ることで何を狙っているのかは不明だが,意味もなく取引先をドキドキさせる名刺として,業界では話題になっている様子だ。


日本経団連が3月から会員各社に斡旋することを決めたのが「TPP対応名刺」。
全長40cmの再生紙を蛇腹に折りたたんであるその名刺の各面には,TPP参加各国の公用語(英語,中国語,マレー語,タミール語,ベトナム語スペイン語)で社名,所属,氏名等が記されており,参加各国どこに行っても使用できるという優れものだ。
日本経団連の担当者は,「英語が大の苦手なのに『平成の開国』を堂々と宣言してしまう菅首相の男気に応えるべく作成を決めた」と語っている。菅首相もこの話に「勇気をもらった」と感激。9日のぶら下がり会見では「不得手な語学に向き合い,年内にこれら6ヶ国語を完璧にマスターする。Yes,I Can!」と発言,周囲を慌てさせている。


個性あふれる名刺たちが,どのような新しい世界を切り開くことになるのか,しばらく注目してみたい。