日本企業の「役職名」に大胆な変化

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

本邦企業の役職員の「肩書き」が来年から大きく変わることとなり,対象各社は準備作業に忙殺されている。


日本経団連(以下「経団連」)が昨年実施した調査によれば,経団連会員企業における役職員の肩書きの種類は,全部で8,000種類を超えるという。その結果,一見しただけではどういう序列・位置付けなのかが分からない役職名があふれている。
経団連の「何でも相談室」には最近,「次長と副部長はどちらが偉いのか」「部長代理補佐と課長代理の関係は」「審議役というのは何を審議する人なのか」など,役職名の意味・重みに関する質問が急増している模様だ。
こうした事態を背景に,経団連では会員企業からの要請を受ける形で,昨年12月から「会員企業における資格・役職名設定ガイドライン」の策定検討に入っていた。


しかし,ガイドライン策定特別委員会での議論は,意見の対立が激しく,完全なこう着状態に陥った。焦点となったのは「役職の階層数」と「役職の呼称」の2点だ。
階層数については,「社長・マネージャー・社員の3段階で十分」と強硬に主張するIT系企業に対して,「社員数が1万人を超える組織では非現実的」「最低でも10段階は必要」とする鉄道などのインフラ事業者の意見が完全に対立。
また役職呼称についても,「カタカナは全廃すべき」「いや,グローバル対応の観点から全て英語表記に統一すべき」という主張がぶつかり合った。


意見の集約が絶望的と見られ始めた今年7月,ある委員が提案したプランが「全メンバーがギリギリ妥協できる案」として,急転直下採用されることになった。


そのプランは,「企業内資格・役職名の大相撲化」だ。
資格名としては「幕内」「十両」「幕下」「三段目」「序二段」「序ノ口」の6段階,役員・管理職層にあたる「幕内」所属社員らの役職名は「横綱」「大関」「関脇」「小結」「前頭」の5種類に設定される。
現在の多くの企業における資格・役職数よりは少ないが,実務に深刻な支障を生じるおそれも少ない点で多くの委員が折り合った。
また,日本企業の資格・役職名を国技から援用することについても「グローバル化のなかで,わが国固有のものをアピールすることは重要」「海外でも日本企業のユニークな呼称として受けるのではないか」と概ね好意的に受け止められた。
ガイドラインでは,さらに「直前3期平均で相当な業績をあげた関脇を大関に昇進させる」「2期連続で目標未達の大関は関脇に降格させる」等,大相撲の徹底した実力主義の考え方も同時に採り入れることを推奨している。


経団連では「会員企業が一斉に取り組んでこそインパクトが出る」として,各社で社内人事制度をガイドラインに沿って改正のうえ,平成26年度から一斉導入するよう,会員企業に通達を出しており,各社は短い期間で対応を完了させるべく,準備作業に忙殺されている。


株式会社サンリオでは,社長の呼称が「横綱」に変更されることに伴い,来年度アニュアルレポートに載せる辻信太郎社長の写真を,「化粧まわし姿」に変更することを決定。早くも「ハローキティ」デザインの化粧まわしを発注したという。

三井住友銀行では,新卒行員に用意している個室形式の寮を,10人一部屋の大部屋に改装する予定。これは相撲部屋で「序ノ口」の力士たちが大部屋で寝泊りし,社会人としての集団生活ルールを身につけさせているのを参考にしたという。

また三越伊勢丹ホールディングスでは,社員の中途採用において,前職で特に優秀な業績を挙げていた者を「幕下付出し」で採用するための基準作りなどにも着手している。


経団連には,「毎朝,横綱(社長)が出社するたびに『土俵入り』をさせるべきか」等の照会が多数寄せられているといい,来年4月のスタートまで,人事部門を中心に各社とも「待ったなし」の作業が続く。

この制度改正が,日本企業に「満員御礼」状態をもたらすのかどうか,注目が必要だ。