「ビジネス花言葉」がもたらすコミュニケーション革命

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語学が苦手なビジネスマンの熱烈な支持を受けて急速に普及しつつある新たなコミュニケーションツール「ビジネス花言葉」をご存知だろうか。
今日は,そんな「ビジネス花言葉」の普及経緯と現状を探った。


日本では,花言葉は約300種類あると言われている。しかし,各国の歴史,気候環境・宗教・文化的背景の違いから,同じ花であっても国によって意味するところが異なるのが実態だ。
そうした現状に対し,花言葉を愛する世界各国のビジネスマンらが「世界でバラバラな花言葉を統一すれば,言語を介しない新たな国際コミュニケーションツールになる」と考え,国際ビジネス花言葉協会(AIBF)が2004年に設立された。
協会としての体制を整備したうえで2005年から開発に着手し,各国支部との調整を経ながら2007年に第1弾として,約200種類のビジネス花言葉を公表。以降,順次追加が進み,本年11月末現在では約11,000種類ものビジネス花言葉が整備されている。


このビジネス花言葉が特に威力を発揮するのは,国際会議等,多国間のコミュニケーションが必要な場面だ。
11月28日午後。ホテルオークラの会議場「オーチャードルーム」に,世界24カ国から集まったエネルギービジネス関係者らが一同に会した。それぞれの席の後ろには,合計2,200種類の草花が整然と並べられている。
会議の開始と同時に,議長である日本の資源エネルギー庁長官が「カトレア」「ライラック」「とけいそう」を次々と掲げる。もちろん「ようこそ日本へいらっしゃいました」という意味であり,即座に意味を理解した全ての出席者から大きな拍手が沸き起こった。
最初のあいさつと基調講演を終えると,会議は個別の議題に移る。かなり専門的な用語が飛び交うが,そこはビジネス目的に特化した花言葉だけに,コミュニケーションは十分成立している。
インドネシアからの出席者が「ナスタチューム」「花菖蒲」「クリスマスローズ」を見せ,カナダからの出席者にシェールオイルの長期安定供給契約の可能性について質問すると,カナダ側はすかさず「ガーベラ」「よもぎ」「やぐるまそう」を次々と掲げ,現時点ではまだコストが安定してないため2年を超える長期契約は難しいとの見解が示された。


このように,一気に国際ビジネスの壁を取り払うことのできる「ビジネス花言葉」には,各企業も高い関心を示しており,社員の研修受講を義務化するケースが広がっている。
住友商事もそうした中の一社だ。
同社の場合,社員の8割が英語を自在に操れるため,ビジネス花言葉は必要ないとの意見も根強かったが,今後成長が見込まれる新興国では必ずしも英語が通用しないことを考慮し,全社員に1年以内のビジネス花言葉(5,000語レベル)修得を義務付けたものだ。
午後8時。約100種類の草花が持ち込まれた同社の会議室には,20代から50代までの40名の社員が熱心にそれぞれの草花の形状や匂い,意味を確認する作業に没頭している。
協会から派遣された講師は,「『あせび』と『どうだんつつじ』は見かけが非常に似ていますが,意味は前者が『中途解約』,後者が『4トントラック』と全然違うので注意してください」と,間違いやすいポイントを丁寧に解説してくれる。



語学を勉強するほうがよほど簡単だ」「常に大量の生花を持ち歩くのが苦痛」「意味に規則性が無いので非常に覚えにくい」などと弱音を吐く社員もいるというが,既に6割以上の社員が5,000語レベルのビジネス花言葉を修得している同社では,今後,社内の公用語花言葉に切り替えることも検討するという。



にこやかな表情の上司から「スイレン」「椿」「デンドロビウム」を示される(=「君はクビだ」)ことのないよう現代サラリーマンは一層熱心に,仕事やビジネス花言葉修得に取り組むことが求められそうだ。