世界初の「ミュージカル銀行」誕生へ―宝塚歌劇団が新事業


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


宝塚歌劇団が,全く畑違いとも言える銀行業への進出を決めたことが20日,明らかとなった。
歌劇団には早くも,全国で100万人以上存在すると言われる熱烈な宝塚ファンから,口座開設の問合せが殺到している模様だ。

歌劇団が設立を予定しているのは「タカラヅカ銀行」で,来年4月1日の営業開始を予定している。
関係者によると,銀行業への進出を決めた理由は2つあるという。


一つは,現在の銀行業務における非効率性の存在だ。
ある大手銀行は,福利厚生の一環として,熱烈な宝塚ファンの行員と歌劇団の交流会を毎年1回開催している。その交流の場で,宝塚のスターたちが銀行員らに毎回聞かされるのが「銀行業務の複雑さ,煩雑さ」だという。銀行によっては,行員の数よりも多い規定や手続書が存在していると言われ,その多さ・複雑さが能率向上を妨げ,顧客サービスの低下にもつながっていると指摘する声も多い。
歌劇団関係者は,「無機質な文書である規定や手続書を全面的に『歌』に変えてしまうことで,楽しく,覚えやすく,親しみやすいものにすれば,業務効率と顧客サービスの抜本的向上が図れるのでは」と考えたという。


もう一つの理由は,タカラジェンヌの再雇用問題だ。
毎年数多くのジェンヌたちが将来のトップスターを夢見て入団するが,実際に夢をかなえ,その後芸能界に転身して活躍を続けられるのはほんの一握りの存在に過ぎない。
多くの団員は,夢半ばで退団して別の道を歩むか,「専科」と呼ばれるベテランチームで,他の組を支えるいぶし銀的な役回りを引き受けるかのいずれかを迫られる。
こうしたタカラジェンヌ達に,歌劇団で磨き上げた技をそのままの形で生かしながら働ける,全く新たな職場を提供したいというものだ。

歌劇団では既に1年前から開業準備を進めているが,これまでのところは順調に進んでいる模様だ。
関西地方の地元銀行から入手した行内規定・手続書を,全て歌詞付の歌に変換する作業も完了したという。
規定等を歌に変換する作業では,国内外のありとあらゆる音楽関係者を総動員した。
超多忙な秋元康氏にも預金関連の規定・手続20件の歌詞作成を依頼したほか,外為関連規定ではジャスティン・ビーバー氏も歌詞の一部を手がけた模様だ。「作詞:宇多田ヒカル,作曲:キダ・タロー」という,奇跡のコラボレーション作品「自己査定のうた」も実現したという。

現在は行員内定者達による研修が最盛期を迎えており,合計700曲余りの歌を全部振付け込みで覚える作業のほか,行員間の業務連絡・コミュニケーション,さらに顧客に対する案内や説明までも全てミュージカルスタイルで行う訓練を実施している。
東京宝塚劇場の1Fに入る同銀行日比谷支店(予定)の店舗内では,来客応対や事務処理のシミュレーションが連日繰り返されている。
店内に入ってきた客に対してお客様係が「♪ようこそわが行へ〜」と高らかに歌いかけ,本日のご用件を伺う。フルメークで着飾ったテラーも同様に大きく手を広げて「♪番号33番でお待ちのあなた〜」と客をブースに招き入れ,事務処理も「♪さあ〜検印を〜」と歌いながら流れるようにこなしていく。


現在意見が分かれているのは,顧客にも歌いながら応答することを求めるかどうかという点。
「顧客に歌わせて声紋を確認することで本人確認が強化できる」とする意見と,「恥ずかしがる客に強要するのは人権問題になりかねない」という意見の調整にはしばらく時間を要しそうだ。


他の銀行からの視察や提携の申し入れも相次いでおり,実際に同行の研修を受けてみた大手銀行行員のAさん(31)は「あんなに膨大な規定が,歌になると不思議なくらいスラスラと頭に入っていく」と,その効果に衝撃を受けたという。
こうした同歌劇団の取組みについて,金融庁幹部は「金融機関が顧客の求めるものを的確にとらえ,個性あふれるサービスとして提供するのは時代のニーズにマッチしている」と高く評価している。

この取組みが今後の金融機関業務のデファクト・スタンダードを創ることになるのか,それとも歴史に残る「珍銀行」に終わってしまうのか,今後も注目が必要だ。