環境問題最前線−ある農業ベンチャーの挑戦


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします



スターバックスがプラスチック製ストローを全面廃止する方針を打ち出して以来、社会的な注目度が格段に高まった感のある廃プラスチック問題。
自然環境下で完全に分解されることがないため、時間とともに微細な粒子状に姿を変え、生態系にも重大なダメージを与えるとされている。
以前から指摘されていた問題ではあったが、パリ協定以降のグローバルな環境保護運動の高まりの中で、企業が対応を迫られたものであるとの見方が一般的だ。
企業にとっては「コストのかかる頭の痛い問題」(大手企業経営者)ではあるが、単にストローを紙に変えれば済む問題ではなく、今後も環境問題にかかる社会的な要求レベルは継続的に上昇していくことが予想される。


そうした未来を予想し、時代を先取りする取組みを進める日本のある農業ベンチャー企業が今、ひそかな注目を集めている。この企業が何を目指そうとしているのか、その動きを追った。


その企業、A社が自社の農場で実験を繰り返しているのは、栃木県那須町
ここで同社が取り組んでいるのは、農作物等の徹底的な品種改良だ。
同社の社長、Bさん(33歳)が記者に手渡したのは、瑞々しい一本の茄子。新鮮ではあるが、ごく普通にしか見えないその茄子をそのまま食べるよう、Bさんは爽やかな笑顔で勧める。
半信半疑でこの茄子をかじった記者は思わずうなった。
「これ、麻婆茄子の味がする!」
そう、A社が手掛けているのは、「完成された料理の味がする農作物」の開発なのだ。


Bさんは語る。
「ストローを紙製にしても、今度は紙資源の無駄が批判される。食器についてもそのうち『資源の無駄』というレッテルを張られる懸念があり、そもそも調理で大量のエネルギーを使うこと自体、大きな批判を浴びることになる可能性がある。であれば、一切の調理が不要で、かつ食器等が全く不要な農作物をそのままダイレクトに食べる、というのが究極の解決策だと考えたのです」


このような考え方で同社が既に開発した農産物は10品以上にのぼるという。
記者が試食した「麻婆茄子味の茄子」以外に、「肉野菜炒め味のキャベツ」「冷奴味のきゅうり」「豚の角煮味のジャガイモ」「チョコバナナクレープ味のバナナ」など、非常にバラエティに富んだ品種が既に試験販売に向け、最終段階を迎えているという。
同社では、これらの作物の種子を一般家庭に販売し、自宅の家庭菜園で栽培させることで「究極の地産地消」を目指す意向だ。


一方、同社では、「農作物については今後10年で300品種程度を開発、販売していく目途が立ったが、肉・魚類についてはまだまだ実用化までの道のりは長い」としており、「焼肉味のする生肉」「塩焼き味の生さんま」などが実現するのはかなり先になりそうだ。


この同社の動きに対しては、マイナスの影響を受けることになるエネルギーや物流関連企業等が「安全性の確認できない農作物の品種改良は即刻中止すべきだ」「料理という伝統文化を放棄してはもはや日本人とは言えない」などというネガティブキャンペーンを張ろうとしているが、同調する動きはあまり広がっていない。


夜、家族で食卓を囲んで皆が一本ずつ「クリームシチュー味の人参」を食べるような光景が実現することになるのかどうか、今後も注目が必要だ。