「絶滅危惧種」保護に世界中の企業が名乗り-保護動物選択巡りバトルも

 注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

 

 

 

人類や地球環境の持続可能性を確保するための取組みが、全世界的な最優先課題として急激にその重みを増している。

気候変動対応等は言うに及ばず、人権尊重等を含む多方面の課題に、世界各国の政府・企業・組織・個人が真剣な取組みを進めている。

 

そうした中、「絶滅危惧種」とされる動物の保護・繁殖に乗り出す企業が世界中で急増、一部では企業間でトラブルも発生している模様だ。

企業が必死で取り組む背景、そして本邦企業の苦悩を追った。

 

 

 

「当社は、ビルマホシガメを絶滅危機から救うことに全面的にコミットいたします」

 

1213日、大手プラントエンジニアリング会社のA社のホームページに掲載された、この宣言が本邦経済界に衝撃を与えた。

 

今月スペインで開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約締結国会議)では、本題である温暖化対策に加えて、いくつかのサブテーマも議論されてきた。

その一つが「生物多様性の維持」であり、12日には、この問題に対する世界中の企業の貢献を強く求める決議が全会一致で採択された。

さらにその後の記者会見で、グデレス国連事務総長は「世界中の全ての企業は各社1種ずつ、絶滅危惧種の動植物の保護に責任を持つべきだ。これで生物多様性の問題は解決に向けて大きく前進することになる」と語気を強めた。

 

これを受けて、世界中の主要企業が相次いで「当社はマリアナオオコウモリの保護に全面的に責任を負います」「弊社はヨーロッパハタリスを絶滅から救うべく最善の努力を尽くします」等々の宣言を実施。本邦で最も早く反応したのがA社だった。

 

A社の広報担当は「弊社は現在、ミャンマーで大規模案件を受注しており、この国の宝ともいうべき存在であるビルマホシガメの保護に、一種の縁というか運命を感じたものです」とコメントしている。

 

こうして一気に世界中で広がり始めた「絶滅危惧種」保護運動だが、その裏には冷徹な打算があるのもまた事実だ。

 

絶滅危惧種の動向については世界中で定期的に調査が実施され、企業の貢献度が明らかになるため、企業としては「確実に結果が出せる絶滅危惧種を保護対象として選びたい」と考えることになる。

一方で絶滅危惧種の保護には当然、相当なコストがかかるが、そのコストを決定付ける要素として「棲息範囲の狭さ」「個体捕捉の容易さ」等がある。

 

どの動植物を保護対象にするかは事実上、「早い者勝ち」であるため、世界中の企業が「より低コストで絶滅危惧状態から確実に救い出せる動植物の保護を他社に先んじて対外公表したい」と激しく競争。

国連調査では、「(事務総長が記者会見した当日である)1212日の1日だけで、世界中の6,000を超える企業・団体が保護対象動植物を公表した」とされている。

A社は、世界的には決して公表が早い部類ではなかったものの、「ミャンマー中央部のみに棲息し、足取りもゆっくりしているカメであれば、比較的対応は容易だ」と判断して、今回の公表に踏み切ったという。

 

 

しかし残念ながら、多くの日本企業はこの動きに対して、未だに様子見を決め込んでいる。

 

金融業界では「顧客本位という観点からふさわしい保護対象動植物をどう選定すべきか」という議論、また「ライオン」「象印」等、社名に動物名が入っている企業では「社名と異なる動物を保護することの是非」をめぐる激論等が続いており、容易には結論が出そうにない。

 

この間にも、世界中の絶滅危惧種には続々と企業から「わが社が保護します」という宣言が発表されており、既に陸上動物の絶滅危惧種のうち、対応が容易な種はほ100%、スポンサー企業が決定した状況となっている。

 

こうしたなか、企業同士が保護権をめぐってバトルを繰り広げるケースも発生。

米国の大手小売業者と、中国の飲料メーカーが偶然全く同じ時間に「わが社はフサヒゲルリカミキリを全面的に保護します」という宣言を行ったため、「守るのはわが社だ」「いや、当方だ」と紛争が勃発。

この様子を見た米国のトランプ大統領が「フサヒゲルリカミキリの保護者にふさわしいのはわが国だ」とツイート、深刻化する米中貿易紛争にさらなる悪影響を及ぼすのではと懸念されている。

 

こうして、比較的保護しやすい種がほぼ押さえられてしまった今、出遅れた日本企業に残されているのは、個体確認と保護が極めて困難な海洋生物ばかりとなっている。

今後保護宣言を行う本邦企業は、「ヒョウモンオトメエイ」「トンガリサカタザメ」「クロテングギンザメ」等々、いずれも年間保護コストが50億円以上は必要になるとみられる難しい選択肢の中から判断を迫られることになる。

 

国連事務総長の要請が「1企業1種」であったため、保護コスト削減の観点から急きょ合併・経営統合を検討する動きも多くの業界で進み始めるなど、わが国経済界の構造変化にまで影響が波及しつつある。

 

 

わずか一歩の出遅れが甚大なダメージをもたらすことになるSDGs対応において、次にわが国の企業・国民が何を求められることになるのか、引き続き注目が必要だ。